日刊ニュース

2012.03.05 のニュース

十分な協議を経て協定締結を

 全国の石油組合にいま、自治体や公共機関さらには民間放送局などから災害時の燃料供給協定を締結してほしいとの要請が殺到している。
 大震災では、救急車やパトカーなどの緊急車両をはじめ病院や水道局などの重要施設の自家発電用燃料、さらには避難所の暖房用燃料や支援物資の搬送用燃料などの必要度が急激に高まった。民間でも携帯電話など通信機能回復のために移動電源車用の燃料が必要で、報道機関でも記者やカメラマンかその場に行くための燃料が不可欠だった。
 被災地とその周辺で起こった燃料不足は、被災地だけでなく全国各地に教訓として伝わり、自治体や放送局などが、今後、起きる災害を想定し、燃料不足にどう対応するか協議していた。それがいま、地元石油組命への具体的な要請となっている。
 多くの組合・支部は少しでも公共のためになれば、との思いでこうした要請に真摯に応じている。しかし、最近、一部の放送局などから、ほかの地区で締結した災害時協定をひな型に、組合側か名前を書くだけの状態で持ってきて、いきなりサインを求めるケースもあるという。
 今回の大震災では、一般車両が列をなしているSSに緊急車両が横から入り込もうとしてトラブルが多発した。お互いの担当者がわからないために連絡が乱れ、依頼を受けた業者がようやくの思いで燃料を調達し届けたところ、すでに別の業者が届けていたなどの無駄も生じた。燃料を円滑に給油し配送するためには、事前に十分に協議して体制を組む必要があるのである。十分な協議もなく協定が結ばれると「協定を結んでいるんだから優先供給を受ける権利がある」など、一方的に要求されるケースも出てくるだろう。
 一部で見直され始めた災害時協定では、条項の中に「平常時から相互の連絡体制及び供給等についての情報交換を定期的に行い、災害時等に備えるものとする」など緊密な連携を維持することや、官公需適格組合の主旨に沿って地元SSへの発注などに配慮することを協定書の中に盛り込んだところもある。
 災害時協定は、平時から、石油販売業界と供給を受ける側が緊密に連携することが大前提だ。そのうえで、災害時に各地域で、公共施設や緊急車両に対しどのような方法で円滑に供給するかを十分に協議したうえで締結すべきである。

提供元:全国石油商業組合連合会
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