日刊ニュース

2012.03.09 のニュース

原油は120ドル台の高値が続く ―最高値に達するとの予測もー

 原油価格(中東産)は120ドル/バーレル台の高値で推移しており、新しい価格帯に入ったようである。イランの核開発疑惑問題による対立が表面化すると、さらに値上がりして高値を更新し、新興国の経済発展、アメリカの株価の値上がり、景気回復なども後押しして08年7月の最高値に達するのではないかとの見方も出てきた。
 また、このイラン問題では、アメリカが禁輪制裁を日本に要請しているが、日本政府としては、イラン原油の輸入削減を石油各社に求めることはせず、各社の自主判断に委ねており、結果的に輪入数量の減少を期待するとの立場を取っている。
 原油価格は08年7月11日に最高値を記録し、WTIが147ドル/バーレルになり、この7月の平均は133ドル(ドバイが131ドル)となった。その後は下落、8月平均が117ドル(113ドル)となり、現在の120ドル台水準よりも安値となった。ただし、当時の為替が110円/ドルで、現在の80円に比べると30円の円安であるため、円換算の原油価格では現在よりも大幅な高値となる。
 そのためガソリン価格も当時は180円相場の高値であった。現在はガソリン150円で相場づくりに取り組んでいるが、30円も安い水準である。また、150円相場は、昨年3月11日の東日本大震災後の4月相場を狙ってのものであるが、ガソリン価格が150円を超えると、ユーザーが高値感から買い控えや節約かするため、販売数量の減少を懸念するムードもある。
 ちなみに原油価格は08年7月に最高値を記録したが、その後は9月にリーマンショックが発生して急落、年末には40ドルとなり、一気に100ドルの急落を経験した。
 現在は120ドル台で、08年6月、7月のWTIの平均が130ドル台で推移、8月が120ドルを割っていることからみると、最高値を突破することも想定される範囲となってきた。
 08年当時はWTIが世界の原油価格の指標となっていた。ブレント、ドバイに比べて高値で推移しており、先物市場が注目され、投機資金が流れた。その後、原油価格が急落したため、世界経済も大混乱となり、先物市場に対しての批判が集中した。そのため、先物市場に対する監視制度の強化などの対策が請じられて今日に及んでいるが、現在の原油の高値が、地政学リスクによるものか、投機資金の流入によるものなのかはこれから判明していくだろう。いずれにしても、原油価格は新しい120ドル台のボックス圏に入っているため、今後の予測は難しい。また、中国、インドなど新興国の経済成長、アメリカの景気回復などを踏まえて、先物市況も予測困難となっている。国内の先物市場も商品取引法の改正が施行され、投資家保護の立場が取られている。その結果、出来高が激減して、東工取の業績が悪化する状況にある。先物市場は低調であり、総合取引所構想が議論されるなど、様変わりとなっている。
 現在、原油価格の指標はWTIではなくなり、ブレント、ドバイとなっている。WTIとブレント、ドバイとの差は15~20ドルとなり、WTIが大幅に安くなった。WTIはアメリカ国内の原油市況となり、世界の指標から後退した。一方、ブレントは、エジプト、リビアの政変などアフリカ、アラブの政情不安を反映して高騰している。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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