2012.03.12 のニュース
経営を切り替えるべき時
約2万人の死者と行方不明者を数えた大震災から1年。直後の石油不足によるパニックへの反省を含め、これらを教訓に、石油とSSの再証価がされ、国による支援を得ながら、中核SSなど、有事での安定供給力をより強固にする施策が展開される。地域においても、平時からの取引を前提にした「北石連モデル」による官公需適格組合の活用が促され、「満タン」運動を通じて純粋な個別の民間備蓄を促す福島の活動など、全国的に水平展開を図るべき実践事例が出ている。
着実に地域エネルギー・インフラ拠点としてのSSの社会性が高まり、石油販売事業者としての発言・発信力が強まる活動が出ているか、経営という側面で、SSは出遅れている感が否めない。
脆弱な事業基盤のSSが、地域社会に支持され、地域社会を支える構造などあり得ない。10円を下回る低粗利が平時の姿となり、今回のような値上がり局面では、卸上昇に対して周回遅れでの転嫁が常態となり、1円刻みで粗利を削っている。我々の事業基盤はいま、少しずつ、確実に劣化の道を歩んでいる。
3・11直後の我々は、石油の一滴は血の一滴という気概を回復させ、いまよりも平均で3円多くのガソリン粗利を手にしていた。元売もいまよりも4円多くの粗利を手にしていた。被災地で多くの仲間が傷ついていたが、原油は値上がり続きで、ガソリンにも大きな値上がり圧力があったにもかかわらず、という事実の中で、いまよりも健全な収益基盤を、被災地の外のSSは構築していた。
製油所においては石油を求める販売最前線からの声に答え、元売の販売担当は系列特約店・SSの声に答え、SSはお客様の声に答え、丁寧かつ緻密に、石油を扱っていた成果であろう。
戦線を離脱していた東日本の2つの製油所が、間もなく復帰するだろう。その前に元売は需給を絞り込み、ガソリン卸の底上げを図っている。割安な業転玉は消え去るだろう。安値を誘発する海外市況でもない。原油段階では、すでにイランからの調達を減らすなど、予見できる有事に備えつつある。
高値のガソリンは消費節約を促すから、我々には手痛いダメージを残す。だからといって身を削れば、それは致命的なダメージとなる。万難を排して、SSも有事に備える経営に舵を戻す時に差し掛かっている。