2012.03.13 のニュース
大きな危機の渦中にあるいま
一年前を思い起こし、津波による被災地の現実、原発事故の周辺地域の今後。間違いなく多くの同業者がそこで事業を営んでいた。復興に踏み出せた仲間の姿もあるが、大きなダメージを被り、廃業または休止のままの仲間がいることを、まず我々は再確認しよう。
中核SSの整備など、地域エネルギー拠点としてのSSの重要な位置付けが決まるなど、石油とSSの再評価の方向が固まった。防災計画の中で、新たなSSの位置付け・評価と我々の役割も明文化され、国や自治体の支援と期待に適うように、近い将来に起こり得る災害リスクへの備えは急速に整いつつある。
ところが、我々が遭遇する可能性の高低、被る影響の大小、時間軸的な長短の側面から見ると、大震災よりも確実に高く、大きく、急を要するリスクがある。イラン・リスクである。地城限定ではなく、全国津々浦々の全SS(したがって全国民・経済)が、イラン・原油高、ホルムズ封鎖・原油途絶…という負の連鎖の内側に置かれることになる。
イランの原子力施設に対して、イスラエルが空爆を行う。これが我々に極めて深刻な影響を与えるであろうイラン・リスクの端緒だ。
すでに125ドルに達しようとするアジア向けの中東産原油相場が出現しており、20ドルほど割安な米国WTI原油相場との乖離が、投機筋が評するイラン・リスクに対する金銭価値だ。リスクが現実問題になれば、08年夏の過去最高値相場を超えることが規定路線である。
国内には190日分の原油国家・民間備蓄があるから、「油断」に対しても半年間は耐久力がある。
国際社会は、こうした危機シナリオを回避するために、イランとの協議再開など、メッセージとともに、その緊張緩和に向けて動いている。ただしイスラエルは、同様な問題で過去、イラクとシリアの核施設を急襲している。過去と異なるのは、イランが有するその反撃力の大きさであり、世界4位の原油生産力であり、我が国の原油の大動脈のホルムズ海峡に面する事実である。
日常の業務が支障なく継続していることに感謝しつつ、上げ渋る隣の安売SSも、高値を敬遠するであろうお客様の購買動向も心配ではあるが、それを大きく超える危機が、我々の全方位を取り巻いていることを肝に銘じたい。