日刊ニュース

2012.03.13 のニュース

東日本大震災から1年 ―教訓と経験を活かし安定供給策をー

 昨年3月11日に発生した東日本大震災から1年を迎えた。巨大地震と大津波は、東北、関東地区に甚大な被害を与え、現在も復旧、復興作業が続いている。震災以前の状態までに復興することは難しく、被災者が地元に戻って生活できるようになるまでには、かなりの歳月が必要となる。
 震災に際しては石油業界でも、製油所、油槽所、SSなどに被害が出た。この震災の教訓と経験を活かして供給安定策を再考すべきである。
 震災発生直後には6製油所の操業が停止した。製油所は点検後、直ちに復旧したが、その間、ガソリンなどの供給が途絶えたため、関東、東北地区のSSでは、ガソリン不足が発生するなど混乱が生じた。現在も仙台、千葉の2製油所の操業が停止、供給体制には苦慮している。
 輸送手段であるローリーは津波で多くが流された。西日本からローリーを投入して対応したが、道路が寸断され、被災地への供給が円滑に行なわれない状況が続いた。沿岸の油槽所も被害を受けて、ローリー出荷が不能となった。港湾、桟橋が被害を受けて内航タンカーの着岸ができなくなり操業停止に追い込まれた。
 SSは、地震に強いとされていたが、津波による被害防止できず多くのSSが営業を停止した。また、停電により給油ポンプが稼働せず、手動でポンプを稼働させるなど緊急時対応に苦慮したこともあって、自家用発電器を備えた災害時対応型SSの設置が求められている。
 このように、石油業界も多くの被害を受けたが、震災発生後、直ちに緊急災害本部(本部長は天坊石油連盟会長)を設けて、被災地や緊急車両などへの石油製品の供給確保に石油業界が一丸となって取り組んだ。その結果、10日程度で供給体制が確立され、混乱は解消された。同時に石油の重要性が再認識された。電気、ガスのライフラインの整備には2~3ヵ月を要したが、石油とLPGは、短期間で供給体制を確立できることを実証した。
 LPGは、分散型エネルギーとしての特長を発揮した。家庭用のプロパンはボンベを2本設置しており、これが軒下備蓄の役割を果たしことになる。また仙台ガスターミナル、岩手県オイルターミナル、小名浜LPGターミナルなどが被害を受けて供給に支障が生じたが、国家備蓄の放出で対応した。隣接する神楢国家備蓄基地から鹿島共同備蓄へ放出(民間在庫と交換)した。
 LPGの国家備蓄の場合は、最終製品(プロパン)で備蓄しているため、即製品として流通が可能となる。しかし石油の国家備蓄は、原油で保有しているため、精製しないと石油製品とならず、時間がかかるというデメリットがある。このため震災を機に石油製品を国家伽蓄することになり、来年度予算で要求している。これらの「災害時における石油・ガスの安定供給策」については、すでに有識者会議で議論を行ない、石油のサプライチェーンの維持・強化策を織り込んだ先行実施計画を打ち出し、石油業界の要望を入れて予算要求を行なっている。
 また石油業界では、電源構成で石油火力を現行の7%から15%に引き上げるよう要望、災害時に石油のサプライチェーンを維持するには、現在の石油需要を維持すべきであると提言している。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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