日刊ニュース

2012.03.14 のニュース

石油の役割重視で復活を期待 ―電源構成で石油のシェア拡大をー

 総合資源エネルギー調査会・基本問題委員会でのエネルギー基本計画の見直しの議論において、14日にはエネルギーミックスの選択肢(電源構成)の方向性が出る。焦点は原発の構成比(09年は29%)を、どう位置づけるかにある。現行のエネルギー計画では2030年に53%にすることになっており、この数字をどこまで縮小するかにある。4月には全原発の稼働が停止する状況である。
 同時に石油の電源構成比も問題となる。石油連盟は、2020年度に石油火力の構成比(09年は7%)を15%程度にすべきと石油の復活を要請している。さらに石油の需要(10年度は1.96億KL)を、今後も1.8億KL程度維持すべきと提言している。このまま減少が続くと2020年度には30%減の1.3億KLになると試算されている。その結果、SSの減少が加速することになり、過疎地だけでなく、都市部でも給油に困る地域が拡大する。灯油の配達もできなくなるため、一定の石油需要を常に確保しないとサプライチェーンの維持が困難となる。
 東日本大震災でも、電気、ガスの復旧が大幅に遅れたが、石油が、直ちに復旧したことで、エネルギーの安定供給には不可欠であることを実証した。こうした背景をもとに、平時からの一定需要を要求しているが、石油連盟の政策的な要望が、全面的に受け入れることは難しいにせよ、どこまで石油業界の要望が反映されるかが焦点となる。これまでの原発推進政策は、裏を返せば脱石油政策であったため、政策転換してエネルギー供給の最後の砦としての石油が不可欠であることを再認識すべきである。石油は、他の化石燃料に比べるとコスト高となっているが、石油の埋蔵量の増加、オイルサンドなどの非在来型の資源、シェールガスなどの開発で埋蔵量が増加、需給の緩和で値下がりも予想されるなど、脱石油政策の前提が崩れてきた。
 今回の議論の最大のテーマとなる原発政策については、早期撤退の「反原発派」と、一定比重を維持すべきとする『推進派』との意見が対立しており調整は困難であるため、各委員から数値を示した回答を求めている。その集計結果が公表される予定である。夏には、計画を策定する予定であるが、この間、内閣府のエネルギー・環境会議と連携して検討することになっている。
 議論を進めるための論点整理では、電源構成に際してベース、ミドル、ピークといった機能を峻別した上で各電源を検討すべきである。また、数値を示す場合は、その性格(コミツトメント、政策、努力目標など)を明らかにするとしている。ベース電源であった原発の構成比をまず決めることになるが、意見の調整が難しく、最終的には政治的判断となる。これには総合的、定量的かつ時間軸を踏まえた検討が必要となる。原発に代わって再生可能エネルギーの太陽光発電、地熱、風力発電などを普及、推進することで、直ちに実用化するとの見方もあるが、これらはベース電源にはなり得ず、実用化となるとリードタイムが長い。よって、原発の不足分をカバーするのは、LNG、石炭、石油火力の化石燃料となるが、その中でもLNGが重点となり、天然ガスシフト政策が先行している。だが、石油の重要性を再認識すべきである。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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