2012.03.15 のニュース
ガソリン高の体系が浸透 ―160円超えも想定の範囲にー
ガソリン高の灯油安の価格体系となってきた。仕切価格の値上げが実施されているが、灯油シーズンが終りに近づいたこともあり、灯油の仕切価格の値上げは、小幅に抑えられている。東工取の先物市況もガソリンは79円/L、灯油は73円、軽油は76円、原油は63円で推移しており、ガソリンは、灯油に比べると6円の高値となっている。仕切価格もガソリンは3日から3円50銭、10日から2円50銭の計6円の値上げとなったが、灯油は2円程度の値上げとなっている。
灯油のシーズンは3月に終わり、一気に減販となるが、ガソリンはこれからシーズンに入り増販となるため、元売もガソリンを値上げすることで収益確保を狙う。今冬の灯油販売は年末から2月にかけて寒波が襲来して増販となり、市況も安定して推移したため元売、販売業者とも利益を確保したことになる。
ガソリンは12月も需要期であり530万KLで前年同月比で1.4%増となり、昨年8月の544万KLに次ぐ販売数量となっている。今年1月も451万KLで前年比では0.9%増の微増となっている。しかし、昨年4月~今年1月の累計では2.9%減となっており、トレンドとしては今後も3%程度の減少が予想されている。ここにきてエコカー減税の効果で省燃費の小型車の販売が好調であり、ガソリンの増販に結びつくとの期待もある。
一方、販売価格が150円を超えてきたためユーザーが節約に取り組むと、車の増販も小型車が対象であるためガソリンの増販とならず、減販との見方も出ている。特にガソリンの販売価格が150円を超えて160円に接近すると、ユーザーは高値感から節約志向になるとの見方が定着している。
また、民主党政椛の発足時点で、ガソリン税、軽油引取税の暫定率(ガソリンは25円/L)の廃止を決めたが、現在も従前の税率が維持されている。ガソリン価格が高騰して160円/L(総務省の調査)超えが3ヵ月続くと、従前の暫定税率分の課税(25円)を停止(安くする)する措置を講じる「租税特別法改正案」が22年3月に成立した。現在では、足元150円を超えており、160円を超える状況もみえてきた。しかし以前には、160円台が予想された時点で財源不足を理由に発動しないことを決めている。この民主党の場当たり的な政策には不信感も出ており、今回も160円以上に値上がりしても発動しないとみられている。ガソリンは、今後も値上がりしそうであるが、160円超えの商値が3ヵ月に亘り続く状況になれば、この措置の扱いは国会でも問題となる。今のところ話題にもなっていない。
しかし、原油価格が値上がり、為替が円安に転じれば、160円超えも想定される状況となりつつある。過去には08年夏、ガソリン価格は180円台を記録したが、当時は原油価格が140ドル/バーレル台、為替が110円/ドルという状況であったが、その直後は原油価格が急落した。
今後の原油価格についてはアメリカがカギを握っている。アメリカは車社会でありガソリン価格の高騰が消費者の家計に影響するため関心が高く、原油価格の急騰には歯止めをかける動きを示すものとみられる。