日刊ニュース

2012.03.19 のニュース

世間は許すか、その卸値上げ

 平年比での高在庫状態か、低在庫となれば、それは売り手市場への変容のサインだ。石連統計によるガソリンのここ2週間の在庫近況は、東日本大震災による供給不安の余韻が残っていた昨年4月1週よりも少ない過去最少レベルにある。それでも海上高・陸上安という、市場が発する不協和音は修正されない。
 ある刺激に対して相場が発するシグナルが、それまでの経験則通りに動かなくなることは、別に珍事ではないが、上昇の起点が原油高であり、円安であるから、いくら力のあるプライス・リーダーの元売でも、この呪縛からは逃れられない。先高が見えていても、SSに届く一歩手前の陸上相場の反応が鈍いことで、原油高に対する収益面での不完全燃焼が続く。しかも、先ごろ発表された元売の10-12月四半期業績は、軒並み精製粗利の悪化を主因として実質減益、原油高による在庫評価益がリカバーする構図であった。
 年度末を迎える3社を筆頭に、3月末で締まるこの四半期業績の底上げを図ることは、経営を預かる者の至上命題だろう。原価が上がる過程では、卸価格転嫁が遅れることが宿命の石油業では至難の業だが、低在庫、先高という経営環境を追い風に出来ない症状は、なにを意味するのか。卸市場の機能不全なのか、卸価格体系そのものに原因があるのか。
 原油が10円上がりましたので、卸と小売は最低10.5円上がります、というのは完全転嫁の際の理屈だが、原油が10円上がって、元売が需給見合いで卸を12円上げたいとしたら、これを世間は許すだろうか。なにによって2円の上乗せ値上げが発生するのか、我々SSに理解できないものが、世間に通用するはずがない。それを元売は発し続けているように見受けられる。
 業転市場という極めて不透明な市場の上下動を理由にすることを許すほど、世間は石油業に対して寛容ではない。原油高、ガソリン高という環境下では、平時よりも厳しい視線にさらされることを覚悟しなければならない。
 08年10月の週仕切りの標準化はスピーディーな製品価格出現など、評価に値する痕跡を残した。その後の度重なる修正によって、指標となるものは水面下に沈し、ブラックボックスの中、あるいは、世間から許容されにくい業転、外販という特殊用語の世界を漂っている。わかりやすい世界に戻る努力が必要だ。

提供元:全国石油商業組合連合会
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