2012.03.22 のニュース
ガソリン高騰で減販の懸念―ユーザー、高値感から買い控えー
ガソリンの仕切価格は、17日(土)から3円/Lの値上げが実施となり、この結果、2月11日(土)から6週間連続しての値上がりとなっている。累計で約15円50銭の大幅値上げとなった。3月に入って3日から3円50銭、10日から2円50銭、17日から3円の各値上げとなり、累計で9円の値上げとなっている。
一連の仕切価格の値上げを受けて販売業者はユーザー転嫁に取り組んでおり、末端のガソリン市況は160円の高値相場となってきた。そのため販売減が懸念されてきた。値上げが浸透しつつあるが、一方ではユーザーが高値感から節約すると、販売減となり値上げが達成する前に値崩れすることが予想される。ガソリンは150円を超えると消費節約で減
販になるという傾同があり、さらに160円台となれば減販を覚悟しなければいけない。販売業者としては、08年夏の急騰後の減販という経験もあり、厳しい局面も想定される状況となってきた。
石油情報センターの週動向調査(12日)では平均価格が153円で、前週に比べて4円の値上がりとなった。東京が156円、神奈川が153円へと値上がり。仕切価格が連続値上げとなっているため、次回調査(19日)でも値上げが見込まれ、160円相場となるのは必至である。
ガソリンの末端市況は高値は08年夏に180円台に乗せを経験しており、この時期に次ぐ高値である。当時は、原油先物市場に投機資金が流入し、先物市場が暴騰してWTIが147ドル/バーレル(7月)となり世界の経済が混乱した。その後9月にはリーマンショックにより急落。年末には40ドル台までに値を落とし、ガソリン販売価格も100円まで急落した。この間ガソリン販売価格は乱高下、結局は値下がりしたが、一度高騰したため、ユーザーの車離れが目立ち、需要は回復することなく、今日まで減販が続いている。
ガソリン価格の高騰を経験したことでユーザーは車を手離し利用が減少、これに高齢化、若者のクルマ離れの要因が加わり、販売減が定着した。ガソリンの販売減はSSの減少を加速することになり、過疎化間題が表面化してきた。こうしてSS減少が続く状況下で東日本大震災が発生し、東北地方が大きな被害を受けた。SSが営業停止し、ガソリン販売減に拍車がかかった。
ここにきて復旧、復興でSSも整備され、また東北地方の高速道路無料化でガソリン需要も回復が見込まれ、昨年12月、今年1月の販売は微増となった。だが2月~3月でガソリン価格が大幅に値上がりし、需要回復に水を差すことになりそうである。震災後のガソリン販売は、昨年4月から今年1月の累計では前年比で2.9%減となっており、マイナス基調で推移している。ガソリン価格が160円台に乗せることで、減販に拍車がかかることが懸念される。
一方で、政府の景気対策によるエコカー減税の効果で、新車の増販とともにガソリンも増販になるとの予測もある。小型車の省燃費車が対象であり、ガソリンの増販には大きく結びつかないとの見方もあるが、新車が増えればユーザーがSSに来店する回数が増加するためSSは活況する。このようにガソリン販売は減少傾同が続くが、一部では需要が回復する明るい見通しも出てきた。