日刊ニュース

2012.03.23 のニュース

電源構成で原発はゼロから35% ―石油は1%~10%と大幅な差が出るー

 総合資源エネルギー調査基本問題委員会(第16回)は19日に開催され、エネルギーミックスの選択肢について、前回(14日)に次いで審議した。各委員から提示された電源構成、一次エネルギー供給の構成比を元に意見を聴きながら議論を行なった。事務局から電源構成など各委員の意見をまとめた一覧表が提示されおり、その中でも原発、再生可能エネルギーの構成比を中心にした審議となった。
 原発については、電源構成(2030年)ではゼロ回答が7名、約20%が7名、25%が2名、30%が1名という内訳となっている。ゼロから最大で30%という大幅な意見の相違があり、これをまとめることは難しいとみられている。原発は「推進派」と「反原発」の二項対立を強めており、3件~4件のテーマ毎に複数の選択肢を提示したうえで、定量的な検討となりそうである。
 再生可能エネルギーについても、構成比は50%~60%から13%~17%というように大幅な隔たりがあり、原発と同様、意見を調整することは難しい。そのなかで太陽光発電、風力発電などの普及を過大に評価しているが、全量買取制度の価格が7月に決まるため、具体的な数値での評価ができないため、価格が決定した段階で検討することになる。コストをどう設定するのか、誰がどのように負担するのかなど、これから審議すべき問題点も多い。
 太陽光発電もドイツの成功例が伝えられているが、国際比較する観点から現状について報告を求めている。ドイツでは買取制度の改正が審議されており、①買取価格の20%~29%の引き下げ、②1万KW以上の太陽光発電の買取対象からの除外、③買取価格の改定を半年から月ごとに変更する、など見直しが議論となっているとの指摘もある。
 アメリカもオバマ大統領が就任後に打ち出したグリーンニューデール政策で風力・太陽光発電の開発に対し、今後10年間で1500億ドルを投資して500万人の雇用を創出する政策を打ち出したが、財政難で補助制度の打ち切り、太陽電池メーカーの破綻など見直しの状況にある。
 また、委員の回答から火力発電の発電電力量に占める石油の比率は1%~10%となっており、大勢は3~5%と低い。火力発電という枠でとらえ、LNG、石油などの個別で
数字を提示していない委員もあり関心は低い。石油に対しての問題意識が薄いこともあるが、議論の大半が原発問題に集中していることが問題である。原発の構成比がまとまらないことには、化石燃料(LNG、石炭。石油)についての識論は、先送りか時間切れとなりそうである。
 エネルギーを全体でみる専門家が少ないこともあり、石油の安定確保策などの議論は遅れ、後回しとなっている。まず、原発のシェアを決めることが先決となるが、原発がどう決まるかが不透明である。そのため、石油の位置付けについての議論には取り組めない状況にある。
 今後の日程は、今月中に成長率やエネルギー需要に基づいて電源構成の試算を行ない、復数の選択肢を決定、4月後半に経済影響分析と、選択肢ごとに必要な政策手段も含め総合的に検討し、5月半ばを目途にエネルギー・環境会議に提示する選択肢案を決定することになる。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
〒112-0004 東京都文京区後楽2丁目22-3
TEL:03-3814-4728
FAX:03-3814-4745
ユーザーID:
パスワード:
ログインする
e-BISTRADE