2012.04.02 のニュース
万一に備え「満タン運動」始動
福島石商が3月9日からスタートした「ガソリン満タン運動」。この運動を埼玉石商も実施することを決めた。福島の根本一彌理事長は全国理事長会議などの場でこの運動の趣旨を紹介、「ぜひ各県でも実施しましょう」と呼びかけてきた。早速、埼玉の星野進理事長は理事・支部長らに運動の主旨を説明し「埼玉でも採り入れることにしたい」と提案、運動を展開することにした。
「満タン運動」のきっかけは、東日本大震災後に被災地の東北をはじめ、関東・東海など広範な地域で起きた「ガソリンパニック」である。消費者は必死にガソリン確保に走りSSには長い長い車列ができた。SSも苦労して調達や供給に務めたが店頭は大混乱した。福島石商はこの経験をもとに、消費者に万一の時に備えてガソリンの満タン給油を習慣付けてもらおうとキャンペーンを始めたものだ。
キャッチフレーズは「そなえて安心 元気に(こまめに)満タン」。サブコピーは「2011・3・11東日本大震災の時、ガソリンスタンドに長蛇の列ができました。何時間も何時間もお待たせしました。本当にご迷惑をおかけいたしました。しかし、天災はいつやってくるかわかりません。万一のときのためにガソリン満タンでいつでも備えを」と呼びかけている。
国は現在、災害時に石油製品が円滑に供給できるよう石油備蓄法の改正案などを国会に提出しているが、この「満タン運動」はこれらの対策とは別に消費者の理解を促すことで市場での実質的な備蓄効果を引き出そうという「草の根運動」なのである。
福島石商の試算によると、全国のガソリン車約5000万台のすべてを満タン(40KL給油)にすると200万KLになる。2011年の1ヵ月当たりのガソリン生産量が約500万KLであるから、1ヵ月の生産量の40%が車の燃料タンク内に備蓄されているようなものだ。
普段から、少し早めに、こまめに満タンにしておけば、緊急時に慌てる必要がなくなる。これは経験に基づく被災地からの貴重な提言であるし、ドライバーと接する石油販売業界だからこそできるキャンペーンでもある。原油高騰で小口給油か増えるなど難しい時期ではあるが、万一に備えた「満タン運動」は、消費者のために各地で長く続けていくべき運動である。