2012.04.02 のニュース
ユーザー転嫁は浸透するも―仕切値上げ分が精一杯で利益増ならずー
石油情報センター調査(26日)によると、ガソリン価格が158円/Lで前週に比べ2円の値上がりとなり、160円相場に接近してきた。地域別でみると、北海道が160円、東京は161円、神奈川は159円、長野は160円、九州経産局は160円となっており、原油価格がもう一段値上がりすれば160円台に乗せてくる。
仕切価格が連続値上げとなる直前の2月13日が143円であったため、3月26日の158円に比べると累計で15円という大幅値上げとなった。一方、同じ時期の仕切価格の値上げは16円程度の値上げとなっているため、仕切価格の値上げ分はほぼユーザーに転嫁された。仕切価格の値上げ実施とユーザー転嫁の時期は1~2週間遅れるが、ここで追いついたことになる。東石商の27日の調査では、仕切価格が140円で前月に比べ約9円の値上がり、消費税を加算すると147円となり、現金価格が158円で販売されていればマージンは11円となる。
仕切価格の値上げ状況をみるとJX日鉱日石エネルギーは2月11日から1円10銭(出光興産は1円40銭)、18日から2円(2円)、25日から3円(3円)で2月計は6円10銭(6円40銭)となった。3月3日から3円50銭(3円50銭)、10日から2円50銭(2円50銭)、17日から3円(3円)、24日から60銭(20銭)で3月計で9円60銭(9円20銭)となり2~3月計で15円70銭(15円60銭)となった。エクソンモービルは16円となるが2月初めに50銭下げている。いずれにしても各社の値上げ幅は、ほぼ同額となっている。
このように仕切価格が連続で16円程度の大幅な値上げとなったため、販売業者は早急にユーザーに転嫁しなければ赤字になるという危機感が強まった。毎週3円程度の値上がりを合理化で負担することは不可能であるため、ユーザー転嫁で足並みが揃った。しかし仕切価格の値上げ分のみの転嫁に止まっており、販売業者のマージンは増加していない。また、仕切価格の値上げで仕入れコストが上がると、運転資金の増加、元売への担保増加などの余分なコストが増加する。仕切価格の値上げ分は、ユーザーに転嫁できたが、利益増とならず、コスト増で経営難は解消されない。利益は販売業者の手元に残らず、元売のみが利益を確保しているとの反発が出ている。
このようなガソリンの急騰時には、需給もタイトであり、販売業者もマージン増を狙うチャンスであるが、コスト割れを回避するのがやっとの状況である。その要因は販売業者間の価格競争体質が残っていることと、値上げによる販売減への懸念、便乗値上げとの批判に対しての慎重姿勢などの点があげられる。
元売はマージンを確保するが、販売業者は経営難が続くことになる。今回のような値上がり局面では、以前は事後調整で販売業者に還元していたが、現在は新体系による週決め制で、通告した仕切価格は以後、調整されることはない。元売も資金的に余裕がなく、コスト削減のため、人員削減や支店の縮小、廃止などを行なっている状況である。そのため元売の独り勝ちとの反発に対し、厳しい方針で対応している。販売業者は自己責任で適正マージンを確保するしか生き残る方策はない。