日刊ニュース

2012.04.11 のニュース

全石連、不当廉売の執行強化 ―民主党に要望するが理解を得られるかー

 全石連は、民主党・石油流通問題懇談会に対して不当廉売等独占禁止法違反行為に対する執行強化を要望している。民主党はエネルギーPTの下に化石燃料小委員会を設けるなど石油、LPG問題に取り組む方針を打ち出しており、石油業界からも意見を聴くことにしている。このように独禁法問題で話し合いができることは前進である。
 独禁法については、運用面で不当廉売として申告された場合の調査と、判定が下されることが早まり強化された。しかし、不当廉売に該当しないグレーゾーンに関しては「注意」止まりとなっており、ペナルティーがなく効果がない。
 不当廉売の基準は、以前は仕切価格を下回る場合であったが、現行では総販売原価(仕切価格+販売原価+一般管理費)が基準となっており、うち、販売原価および一般管理費は対象用品に係わる変動費しか認めていない。そのため、ほとんど従来と変わりなく、安売りと判断して公正取引委員会に申告しても、不当廉売に該当しないため、活用できないという反発が出ている。
 今回の要望では、①不当廉売の判断基準を見直しする、②不当廉売をチェックするには仕入価格を確認するための仕入伝票の提出を義務づけるべきである、③廉売業者は「注意」を何回受けても、廉売行為を繰り返しており効果がないため、交通違反のように「累積点数制」にすべきである、④「注意」案件については事業者名を公表すべきである、⑤昨今は仕切価格と業転価格との価格差が拡大しており、公取委が石油流通の実態を調査すべきである、などを要望している。これらはすでに公取委に要望しているが、民主党を通じて改善されるかが注目される。
 不当廉売については、仕入価格(仕切価格)に人件費、リース料など変動費以外のコストも価格・費用基準に加えるべきである。結果的には仕切価格を下回った価格で販売した場合は不当廉売に該当するが、実際には安売りに対して周辺の販売業者が不当廉売として公取委に申告した場合、クロの判定はまったくなく、ほとんどがグレーの判定で「注意」となっている。廉売業者はこの「注意」を何回受けても、その後にまた安売を繰り返すため、周辺SSからは、不当廉売で申告しても意味がないとの反発が強まっている。何回「注意」を受けてもペナルティーが課されないことは、法制度からみても不備であり、交通違反のように「累積点数制」にして、一定要件を満たす場合は」、警告等の厳格な措置を講じるべきであると要望している。
 また、公取委のSSの実態調査は平成16年9月に実施され、その結果、仕切価格と業転価格の価格差の拡大問題が指摘され、これを契機に元売の仕切価格決定方式が改定された。その後は業転市況にリンクした新体系が実施となり、販売業者も透明で公平な価格体系であると一時は容認した。しかし、この価格体系では元売は思惑通りに利益を確保することができず、業績は悪化して赤字が続いた。そのためブランド料を加算した新・新体系に改定され元売はマージンを確保することになった。一方、販売業者は、実質仕切価格の値上がりとなり、業績が悪化したため、業転価格との価格差を解明するよう公取委に調査を求めている。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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