2012.04.18 のニュース
想定された原発ゼロが現実に―楽観的な見通しで今夏を乗り切れるかー
大飯原発の再稼働を要請するため枝野経済産業大臣が14日に福井県を訪問した。西川福井県知事、時岡おおい町長に対して再稼働に対して協力を求めたが、福井県では県の原子力安全専門委員会で検討するとの回答で、地元の対応が注目される。経産省では隣接する滋賀、京都、大阪にも協力を求めることになる。
この大飯原発が再稼働しなければ、関西電力管内の今年の夏の電力供給に支障が生じることが懸念されるとして、政府は再稼働を要謂している。福井訪問を経て植野経産大臣は15日、「5月6日以降、一瞬、原発はゼロになる」と述べた。唯一稼働中の北海道の泊原発が定期点検で5月5日から操業を停止することを踏まえ、大飯原発の再稼働が難しいことを認めたことになる。原発は、関西電力、北海道電力を除いた各電力会社が操業を停止しているが、全国で原発の稼働が停止することは初めてであり、象徴的な事態となる。
同時に、現在、審議中の新エネルギー計画の見直しに間題点を提起することになる。脱原発の委員は原発ゼロを、推進派は20%~35%の維持を主張し対立しており、調整が難しい状況にあるが、現実の原発が一時的でもゼロとなることは、脱原発の勢いが強くなりそうである。
大飯原発再稼働の要請に際して、安全性が確認されたとしているが、あまりにも決定が早く、十分な議論を経ていないとの批判もある。5月5日には泊原発が定期点検に入るため、この時点で全国54機の原発が停止してゼロとなるか、政府としては夏場の電力安定供給のためにも原発ゼロは避けたいところである。
原発がすべて停止した場合、今夏の電力不足をどうカバーするのか、早急な対応が求められる。昨年夏は、計画停電、節電対策を実施して乗り切ったが、今年の夏は全国の電力需給が厳しくなる見通しで、電力の安定供給がなければ再び社会的混乱を招くことになる。政府は大飯原発の再稼働に目途をつけることで安定供給を実施したいという読みであったが、厳しい状況となってきた。夏までに地元の了解がつくかは、今後の調整にかかる。すでに原発がゼロになることは想定されていたが、現実となると、化石燃料にシフトするための石油、LNGの供給確保対策や、コスト高となることでの電力料金の値上げは必至となる。企業の電力不足回避による工場の海外移転、産業空洞化による雇用問題の拡大、化石燃料の消費増によるCO2排出増、などの多くの問題をかかえることになる。
しかし、一方で、原発がゼロになっても電力供給に問題がないことを実証できるとの楽観的な見方も出ている。夏場の電力需給の取組みには、①節電対策、ピーク需要をカットするなどの方策で乗り切れる、②電力会社の需要想定が常に高く、余裕を持った計画を設定している、③そのため原発がゼロでも電力供給に問題はない、との意見である。昨年夏は、東京地方では計画停電、節電対策での対応を経験し、工場操業日・操業時間の変更で電力ピークの分散を行なった。冬場も需給が逼迫したが、停電もなく乗り切ることができた。しかし、今年の夏は全国の電力供給が昨年以上に不足する見通しのため、電力融通の余力もなく、停電もなく乗り切れるかが懸念される。