日刊ニュース

2012.04.19 のニュース

対立する選択肢を明確に ―原発35%案の削除は否定―

 総合資源エネルギー調査会本問題委員会は16日、第19回会合を開催したが、原発を巡っての意見対立は、続いており、「脱原発」と「原発推進」の意見を調整することはぜずに対立する選択肢を示すことになる。この対立する選択肢を示し、国民が判断すべきであるとの意見が出るなど、これから詰めの段階に入るが、二項対立をより明らかにする方向で議論が進みそうである。
 焦点となる原発の電源構成に占める比率はゼロ(8名)から20%、25%、35%と分かれており、選択肢はAからEまでの5案が提示されているが、これらを調整することは、不可能な状況となっている。
 「脱原発」の委員は、委員に選任された段階で原発はゼロと決めて審議に臨んでおり、妥協の余地はない。35%案が突出しているとの反発から、「原発35%案は削除すべきである。政府の方針は原発依存度を低減することで確認されており、この方針に逆行する。現行の計画では2030年で53%としており、これに比べると削減されていることになるが、少数意見であり、これを提示することは不当である」として事務局に削除を求めている。
 原発35%案では、「CO2制約に対応するため現状程度の原発の設備容量を維持しつつ、再生可能エネルギーを活用(25%)し、エネルギー安全保障と経済成長を両立させる」と説明している。たしかにゼロから35%となれば、選択肢としての幅が広く、ゼロと比較する場合の判断に影響がでるとの指摘もあるが、この35%案は、ひとつの電源構成モデルであり、事務局(経済産業省)が、勝手に削除することは公正さを欠く。
 また、「政府が40年で廃炉という方針を出しており、この方針からみて原発比率は5~15%であり、20%以上の数字を出している委員は根拠を示すべきである」との意見も出ている。これに対しては「原発25%は、建設中の2機、現在の原発を平均50年で廃炉、稼働率を80%で計算すると可能である」と説明し、さらに、「原発ゼロとする具体的戦略を示すべきである」と、反対に説明を求める意見で対抗している。
 「原発推進」の委員からの「日本が世界の原子力産業の中核的主体となっており、米国の核の傘の中に残りながら原発だけ止めることができるのか」との意見に対しては「国防のことを考えるならば、国防に関する専門の委員会で議論すべきである」と反論している。
 原発と同様に対立するのが再生可能ネルギーの導入策である。原発ゼロ案は、当然、再生可能エネルギーの比率が35%と高い。この35%案に対して「そんなに美しい言葉を並べても国民が理解できない。その裏づけを説明して欲しい」、「35%という楽観的な数字を積み上げても実現性が乏しい期待値でエネルギー政策を策定すると将来に禍根を残す」、「設備を設置しても、これに送電網、畜電池の設置、天候によって電力供給が不安定であるためバックアップ電源の導入が不可欠であり、その巨額なコストを誰が負担するのかも示すべきである」などの反諭も出ている。
 これに対し35%案は①固定買取制度の適用、②国内電力市場の統合、③予算の重点配分、④立地規制の撤廃、などをあげているが、説得力を欠いている。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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