2012.04.26 のニュース
企業者が注目する実態調査
「ガソリン小売段階での廉売の激化やその背景として卸売り段階における差別対価の問題、これらの問題について業転玉の存在が影響を及ぼしているとも言われている。このような現状を踏まえ、ガソリンの流通実態調査を行い、独占禁止法上の考え方を示す目的で調査を実施した」。この一文は公取委が2004年9月に発表した「ガソリンの流通実態に関する調査について」という報告書の冒頭記述である。
報告書では最後に「元売が系列特約店に対し、卸売価格の決定方法を十分に説明しなかったり、一方的に卸売価格を通知したりすることは、系列特約店にとって不当に不利な卸価格が設定されるなどの問題につながるおそれもある」として、「市況と基準価格の対応関係や数量割引等の算出方法について十分説明すること」と指摘した。しかし、こうした指摘があったにもかかわらず、市場では不透明な卸価格が横行し、業界は不当廉売や差別対価に苦しめられる状態が続いた。
07年、政治のフォローアップもあり公取委が「ガソリン流通における諸問題に係る独占禁止法の考え方」を発表し、卸価格を元売が一方的に決定することは独禁法上問題だとして元売各社に改善を指導した。その結果、翌08年10月以降に、元売各社がそれぞれ新たな卸価格決定方式への改定を順次行った。いわゆる新仕切り体系への移行である。
すべての元売ではないが、当初の新仕切り体系は特約店にとって比較的わかりやすい仕組みで、公正・公平な競争基盤の確立を期待させた。ところがその後、この仕組みが改変され「新・新仕切り体系」と呼ばれるようになると再び不透明な市場競争の世界に突入。徐々に卸価格と業転価格の格差が拡大し、流通市場では利益を無視した競争が激化した。
公取委が実態調査をしてからすでに8年が経過した。卸価格が週決めになり、コストの積算方法も変わった。元売子会社やPB量販業者が市場をかき乱し、系列事業者はそれに振り回されている。
公取委はこのほど「元売会社による仕入価格決定方式の改定など、最近の石油流通をめぐる実態の変化を踏まえ、石油流通業の取引実態や競争実態を調査する」ことにした。市
場は8年前と大きく変わっている。異常な価格や不可解な取引が再び始まった原因を浮き彫りにすることを多くのSS事業者が期待している。