日刊ニュース

2012.04.26 のニュース

民主党がエネ政策で報告書―石油業界の意見を聴くなど方針転換―

 石油業界は、民主党に対して政策要望を行なうなど折衝を強めている。民主党政権発足後は、石油も事業仕分けの対象になり対立ムードを強めていたが、政権与党の立場から石油業界の意見を聴く方向に変わってきた。特に、東日本大震災の経験を機に石油の重要性、役割を認識したこともあり、意見を求めている。
 民主党エネルギーPT化石燃料小委員会を設立、石油、LPGなどの関係業界から意見を求め、報告書をとりまとめる。エネルギー政策について前向きな姿勢で対応している。石油連盟も、現在審識中の総合エネルギー調套=のエネルギー計画の見直しの審議が原発間題に特化して、石油政策が議論されないことから化石燃料小委に対して説明、協力を求めている。
 全石連も民主党・石油流通問題懇談会に対して独占禁止法の運用強化を訴えている。不当廉売の定義の改定(判断基準の見直し)や、不当廉売の判定が[注意]止まりで再発防止にならないため運用面の強化、「注意」案件の業者を公表すべきと要望している。以前に同じ問題点を自民党に要望しているが、改善されぬまま今日に及んでいる。公正取引委員会の方針を変更することは難しいところであるが、今後の民主党の対応が注目される。
 総合エネルギー調査会の審議は、「反原発」と「原発推進」とに分かれており、この双方の意見の対立から調整は困難な状況のため、5つの選択肢を示すことで、審識は終りそうである。その間、石油などの化石燃料に対しての議論ができない状況となっている。長期エネルギー計画(2030年)も、電源構成における原発のシェアさえ決まれば、残りの化石燃料のシェアも決まるが、さらに再生可能エネルギーを巡っても、導入の可能性を過大に見込む意見と、導入は難しいとの意見が対立している。そのため一次エネルギー供給の数値をどうするかさえも議論の対象となっていない。このように、原発を巡って議論の調整がつかないまま、加えて原発の再稼働問題が急浮上しており、混沌としてきた。
 民主党の原発政策は、脱原発の方針であるが、足元の電力不足を回避するため原発をゼロにするわけにはいかず、福井の大飯原発の再稼働に向けた動きが表面化してきた。枝野経済産業大臣が地元を訪問、再橡働を要請しているが、交渉はまとまらないようである。
 そうなると今夏の電力需給は、原発実質ゼロで対応することになるため、経産省も電力各社に需給状況の報告を求めている。原発ゼロで夏場を乗り切ることは不可能であり、節電対策、需要期のピークカット、場合によれば計画停電も予想される。猛暑となれば、昨年の東京電力管内のような停電が実施され、社会的な混乱を招くことも予想される。この電力需給については、過大に需要を想定しており、大きく供給不足とならないため節電で乗り切れるという意見も多いが、もし停電という状況ともなれば、生産活動の低下などから、経済・雇用にも大きく影響する。
 反原発の意見が大きく伝えられているが、電力の安定供給問題は慎重に議論する場が必要である。原発がゼロとなれば、引続き石油火力が増加することになり、石油の供給確保が石油業界に求められる。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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