日刊ニュース

2012.04.27 のニュース

LSC重油 ガソリンより高値 ―原油高騰で過去3番目の高水準にー

 JX日鉱日石エネルギーが打ち出した4~6月の大口向けLSC重油価格(電力向け)は、7万9460円/KLで前期に比べて9070円の大幅な値上がりとなった。HSC重油は7万0050円で7950円の値上がりとなった。LSC重油は約8万円となり、ガソリンの業転が7万3000円と下落局面という時間差もあるため、ガソリンよりも高値となる。この価格水準は原油価格が急騰した08年夏(7月11日の最高値でWTIが147ドル/バーレル)の時期に次いで3番目の高値どなる。当時の7月~9月が9万7480円で最高値、ついで4月~6月が8万2110円であり、その後は3万円台に急落した。
 4月~6月価格の対象となるコストは3月~5月の3ヵ月間となっているため、5月のコストは推定となる。この時期に原油、為替が変動すれば値決めが決着する時点で変更される。LSC重油の打ち出しの根拠となるコストをみると生産品の原油CIFは136ドルで13ドルの値上がり、為替を81円73銭/ドルで3円85銭の円安を見込んでいる。そのため円/KL換算では原油CIFでは約7万で前期比で1万円の値上がり、この原油価格の値上がり分が反映することになる。これに石油税2040円、金利271円、経費等6410円を加算するとコストの合計は約7万9000円となる。直脱品のコストを含めた計が8万2000円となり、双方を各50%の比率で合成すると8万0688円となる。この合成石価格を75%とし、国際価格が7万5809円を25%の比率で算出すると7万9460円となる。
 だだ、4月~6月価格は、平成24年度の新年度入りであるため、これを機に価格フォーミュラの改定が検討される。コストの大半は原油価格、為替となるため、その時期の相場を反映する。ポイントとなるのは経費であるが、LSC重油の生産品価格では6410円、HSC重油では、備蓄、防災費等で3682円を前期の横ばいで計上している。経費とは精製費(電気代、燃料費)、一般管理費など多岐にわたるが、その時期を反映するため毎年見直しを行なっている。これまでは大きな変動はないが、今年度は原油価格の高騰と、電力料金の値上がりも絡むため経費の見直しが議論となる。
 今後も原発の稼働停止で、石油火力にシフトすることになり、電力の石油(原油、C重油)受入は増加が続く。電力10社の11年度の重油受入は1219万KLで前年比99%増となっており、今年度も高水準が続くため安定供給が求められている。原油価格の見通しは難しいが、LSC重油の確保となると、LS原油の輸入での対応となる。供給元が南方、アフリカなどと限られており、高値となることから、石油業界では供給確保に苦慮している。
 そこで安定供給を優先するために、この値決め方式が活用されている。原油CIF価格に石油税、金利、経費を加算してコストを積み上げる方式で、昭和45年から継続されており、石油業界が安定供給を保障するが、ユーザーはコストを負担することになっている。石油危機などで原油価格が高騰、需給が混乱して業転市況が急騰する場合も、安定供給の確保のため、ユーザーがコスト分を負担することで了解されている。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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