2012.05.23 のニュース
ガソリン仕切は連続値下がり ―下げ過ぎ警戒も市況対策困難にー
ガソリンの仕切価格は、19日からも約2円~3円/Lの値下げが実施となり、その結果、末端市況も値下がりとなる。仕切価格は4月初旬から値下がりが続いており、今後も続くと予想される。原油価格は、WTIが91ドル/バーレルへ、中東産も105ドル程度に下落、為替も78円~79円/ドルと円高に転じ、コスト安から今後も仕切価格が値下がりする状況にある。
原油価格の下落の要因は、ギリシャの財政危機が再燃しており、その結果、アメリカ、欧州の株価が下落していることに連動してのものである。G8では、①ギリシャがユーロ圏に残ることへの関心を確認、②持続可能な財政健全化策を支持、③イランの核開発計画の懸念、などの官言を採択したが、欧州の財政危機の克服は不透明で見通しは難しい。
原油価格は2月~3月で中東産が120ドル台に値上がり、4月で110ドル、5月では110ドル割れに値下がりと大きく変動している。2月~3月ではイランの核開発疑惑問題でアメリカがイラン原油の輸入を抑える制裁措置か請じたため、イランがホルムズ海峡の封鎖を伝えるなどで対抗、供給逼迫の懸念から原油が高騰した。そのためガソリン価格は、1月~2月の143円から4月には158円/L(週動向調査)と15円の値上がりとなり、160円超えが懸念された。だが、その後は下落。5月14日の調査価格では152円と6円の下落となっており、街道沿いは145~6円が中心値、安値は140円を割っている。さらに、仕切価格が19日から値下がりとなったことから、一段の値下がりが予想される。140円台に値下がりするのは必至で、1月の143円に戻ることになりかねない。イラン問題での原油価格の高騰が欧米の株安で値下がり、調整されたことになるが、足元の原油価格は1月相場を下回っており、どこまで下落するか分らない状況にある。
原油価格の下落によるガソリンなどの石油製品の値下がりは、コスト安となるため経済には好材料となる。石油業界もガソリンが高値の160円台相場となれば、需要が落ち込むため、値下がりを歓迎する見方もある。しかし、急落の場合、マージンを確保できなくなる懸念がある。ここにきて安値は150円を割って140円台となってきたことから販売数量の回復が予想されるが、需要はすでに頭打ちの状況にあり、値下がりでの大幅な増販は期待できない。ガソリン車の販売がエコカー減税の効果で好調となっているが、省燃費車が対象となっているためガソリンの増販には繋がっていない。ハイブリッド車の増加、ユーザーの高齢化、若者の車離れ、走行距離の短縮、長期の不況で節約が浸透するなど需要増は望めない。販売業者もガソリンの実需要は増加しないと分かっているが、工夫を凝らして商戦に臨んでいる。だが、最終的には価格競争で対応することになる。
連休商戦が終り、これから入梅となるためガソリン販売が落ち込む時期となってきた。減販と市況下落が重なるため、価格競争がエスカレートしそうである。市況下落は仕切価
格の値下がり分の範囲内であれば問題がないが、下落に拍車がかかると、一気にコスト割れとなる。これまでは仕切価格の値下がりの範囲内に止まっているが、市況維持が困難な状況となってきた。