2012.05.24 のニュース
再生可能エネルギーを過大に評価―送電網、バックアップ電源で巨額コストー
再生可能エネルギーの導入について総合資源エネルギー調套基本問題委員会で審議されているが、反原発派は原発をゼロ、これに替わって再生可能エネルギーを過大に評価しており、意見が対立している。
現在、すべての原発が停止し、原発ゼロが実証される皮肉な結果となっている。今夏も節電対策に取り組むことになるが、石油火力増加の状況で実証することになる。電力供給の厳しい関西電力管内が節電で乗り切れるのか、計画停電を実施するのかが試されることになる。
反原発派は、電源構成で原発ゼロ(10年度は29%)とし、再生可能エネルギーを35%(10%)に拡大する案を支持している。現実的に再生可能エネルギー35%の達成が可能であるのか、送電網やバックアップ電源などの導入コストを無視した議論であるとの批判も出ている。10年度の電源構成でみると再生可能エネルギーは10%(30年度に35%に増加)を占めるが、そのうち、水力は8.5%(11%)であり、残る1.5%(24%)の内訳が、太陽光0.2%(6%)、風力0.4%(12%)、地熱が0.3%(4%)、バイオが0.3%(3%)となっている。足元の風力、太陽光、地熱などは0.2~0.4の構成比を4~12%と大幅に増やすことになる。太陽光は、各員の選択肢も6%、水力は11%となっているが、風力は3~12%と幅がある。風力が急増するが、立地する場所が存在するのか、また、現在は故障が多いとされており、安定した電源として定着するかなど問題点も多い。
風力、太陽光は、天候によって出力差が大きく、バックアップ電源や送電網の整備が必要であり、そのコストが巨額である。さらに、蓄電池も必要となるため、その技術開発、蓄電池のコスト低減が求められる。
地熱も3~11%とバラツキがあるか、大幅な増加を見込んでいる。だが、探鉱、開発、発電までのリードタイムも長く、成功率は石油開発よりも難しいとも言われている。足元では0.3%のものを、実際に3~11%に増加できるのか疑問視されている。環境に優しいが、温泉地域での開発となるため、地元の反対も多く規模の拡大が図れるかなど多くの問題がある。
現在、固定買取制度の施行に伴い、太陽光発電は導入が見込まれている。平成24年7月から翌年3月末までの半年で、これまでの累計導入量約500万KWに対して、今年度だけで約200万KWの導入拡大が見込まれ約700万KWとなる。住宅太陽光発電で約150万KW、非住宅用で約50万KWの導入を見込んでおり、さらなる拡大が期待されている。
再生可能エネルギー全体では、11年度で約1945万KW(うち風力が250万KW、地熱が50万KW、バイオマスが210万KWなど)であったものが、12年度では約250万KW増(太陽光が200万KW増、風力が38万KW増、バイオが9万KW増、地熱はゼロ)で2200万KWに増加する見込みである。
太陽光発電については、パネルコストも09年の約70万円から、現在、47万円程度に急落、コスト低減が進めば設置場所の開発次第では拡大する。だが、天候によって出力差が大きいため、バックアップ電源は必須となる。