日刊ニュース

2012.05.28 のニュース

原油価格は一段の値下がり ―ガソリン市況対策が難航―

 ガソリン市況は下落が続いており、下げ止めの見通しは立っていない。原油価格がWTIで89ドル/バーレルと90ドルを割ったことで、より一層の下落も懸念され、市況対策が一段と難しくなってきたが、販売業者はマージン確保が求められる。
 みずほ総合研究所の週動向調査(21日)によると平均149円/Lで、前週に比べて3円の値下がりとなった。7週間連続の値下がりである。4月初めが158円であったため、累計9円の値下がりとなる。
 原油価格の下落により仕切価格も値下がり、その結果、末端市況も値下がりしているもので、2月~3月では、143円から158円と15円の大幅な値上がりとなったが、4
月~5月では9円と大幅な値下がりとなっている。値上げに取り組み、ようやく値取りを達成したかにみえたが、その後は急落となってきた。
 石油業界は原油が値上がり局面の方が有利に働き、値下がり局面では、値下げを先取りして利益を吐き出すため不利となるケースが多い。原油価格が値上がりすれば、元売は在
庫評価益が発生するため、原油価格の値上がり分をユーザーに転嫁できず、未転嫁でコスト割れとなるような場合でも、在庫評価益を除いた数字は赤字となるが、決算では黒字と
なる。逆に原油価格の値下がり局面では、在庫評価損が発生するため決算では赤字となる。しかし、コストか下がるため、値下がりを食い止めれば在庫評価損を除くと黒字なる。
 決算が赤字となると、株価に影響するというマイナス面もあるが、石油業界の特有である在庫評価の影響については投資家、株主も理解をみせているため、その懸念は減少した。だが、石油業界の内情を知らない人からみると、在庫評価損のため決算が赤字の業績の評価はマイナスとなるため、苦慮する部分でもある。在庫評価の影響については、販売業者間では、理解が得られない面がまだ残っている。在庫評価益を含んだ増益に対して「元売は儲けているが、われわれは赤字で苦しい」という声も出ている。
 一方、販売業者の業績には在庫の影響はなく、仕切価格が値上がり、値下がりと大幅に変動してる時期でも、常に適正マージンを確保できるかにかかっている。足元では、仕切価格が連続して値下がりしており、末端市況も急激に下落しているが、週動向調査でみると、これまでのところ、仕切価格の値下がり分の範囲に収まっている。しかし、この調査価格は、市況実態に比べると高値となっている。実際には140円割れの安値が増加しており、130円台の販売価格でコスト割れとなり、赤字のSSも出ている。
 「安値は安値で対抗する」との商法が多くなると市況下落に拍車がかかり、赤字SSの増加が懸念される。ここにきて原油価格が急落しており、原油安を先取りして、値下げに動くケースも出てくる。仕切価格の値下がりが見込まれると、改定日(土曜日)を前に値下げするSSも出てきた。連続しての値下がりとなると、毎週、末端価格を改定することが難しくなり、まとめて値下げすると周辺SSとの間に価格差が生じ、混乱の元となる。周辺の市況に影響されることなく、仕切価格に適正マージンを上乗せした販売価格を設定すべきである。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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