日刊ニュース

2012.05.31 のニュース

石連、新しい会長に木村氏 石油需要の確保など実現を目指す

 石油連盟は、28日に総会を開催し、新会長に木村康・JX日鉱日石エネルギー社長を選任した。木村氏は、これまで副会長で政策委員を担当しており、6月のJXホールディングスの総会で、ホールディングスの会長、JXエネルギーの会長に就任することになっており、両社の会長と石油連盟会長に就任する。JXエネルギーは石油業界でのシェアは35%を持つリーディングカンパニーの社長であり、石油連盟会長としては適任者で、順当な選任となった。
 会長就任に際しての記者会見では、石油連盟が総会で決めた新しいスローガン「石油の力。」の入ったボードを前に「昨年3月11日の東日本大震災を機に、石油がエネルギーの安定供給としての最後の砦となることが実証された。石油の位置づけを高め、サプライチェーンの維持のために安定供給の確保に努める」と抱負を語った。
 現在審議中である、新しいエネルギー基本計画の策定に対しては、天坊前会長が4次にわたり提言を行なっており、その実現を目指すことになる。提言では、①サプライチェーンの維持のため石油の安定需要を確保する、②緊急時に備えて常に石油を活用する、③エ
ネルギー間の公平を確保すること、④過度な天然ガスシフト政策を見直す、⑤平時より石油火力の安定稼働を行なう、などを政府に要詰している。
 具体的には、石油の需要減少に歯止めをかけ2020年度には1億8000万KL維持する。10年度は約2億KLであったため8%減に抑える。電源構成で石油火力を現行の7%から15%に引き上げる、と数値を示している。足元の電力各社の石油受入は、原発の稼働停止で増加しており、20%に引き上げられている。これは原発の停止による一過性のものであり、平時から一定数量を消費するよう要請しているもの。
 過去においても中越地震の発生で柏崎刈羽原発が停止、石油火力にシフトして供給確保に苦心したが、今回は全原発が稼働を停止しており、オーダーが急増している。緊急時のみだけでなく平時から石油を使用することを確約すべきと要請している。
 また、税制改正では、石油石炭税が温暖化対策税として、10月から4年間かけて段階的に増税されることが決まっているが、石油連盟としては、①自家発電用燃料石油石炭税の還付、②安易な石油への増税、新税の導入に反対、③石油に対する過重な税負担の軽減と公平の確保(ガソリン税の本則税率上乗せ分の廃止)などを要請している。しかし、エネルギー基本計画が策定されると、脱原発により再生可能エネルギーの確保などを巡って石油に財源を求める動きが出ることが予想されるため警戒が必要である。
 当面の石油需給については「実需の見通しが、前年比でみると厳しい状況にある。前年が混迷していたこともあるが、ガソリン、C重油などの販売の見通しを予測することは難しい。基本は需要に見合った生産で対応すべきであり、供給増には輸出で対応することになるであろう」と述べている。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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