日刊ニュース

2012.06.04 のニュース

ガソリン市況下落も限界に―業者、損益分岐点に達するー

 みずほ総合研究所の週動向調査一(28日)によるとガソリン価格は全国平均で147円/Lとなり、前週に比べて2円の値下がりとなった。経済産業局別では北海道が145円、東北、関東が146円で各2円の値下がり、高値は九州が151円だが、3円の値下がりとなった。東京は149円で150円を割り込み、神奈川も145円に値下がりしている。
 全国平均では、4月初めが158円、28日が147円となったため累計で11円の値下がりとなっている。仕切価格の値下がりが反映したもので、147円相場であれば、仕切価格の値下がりの範囲内に止まっている。だが、実勢の市況はこの相場が下回っている地区も多く、販売業者もマージン減で苦慮している。
 仕切価格の改定が土曜日で、この週動向調査は月曜日、発表が水曜日であるため、値下がりが急な局面では時間的なズレも発生する。仕切価格の改定後、直ちに値下げせず、値下げを火・水曜日に遅らせるSSもあり、また、仕切価格の値下がりを先取りして、いち早く値下げするSSもあるため、この調査価格と市況実勢との間に違いが生じる。現在、仕切価格の値下がりよりも末端市況の値下がりが遅れているようである。現時点の調査価格でみると販売業者はマージンを確保しているが、この辺りが限界で、これ以上値下がりが続くと利益を吐き出すことになる。市況が続落しているため、損益の分岐点に達しているようだ。
 末端市況は街道沿いでは142円~143円が相場で、140円台の攻防が続き、セルフは140円、HC、量販店は134円~135円と値下がりしている。HC、量販店が安値をリードしているため、今後も値下がりが予想されており、まだ予断を許さない。HCなどは業転市場から仕入れるため、業転市況に辿動して販売価格を設定する。よって今後の業転市況の動向にかかってくる。安値相場は業転市況プラス15円(消費費税込み)が販売価格とされてるため、業転市況の下落が止まり、反騰する動きがでないと安価の底上げとはならない。
 原油価格も下落が続いている。WTIは30日には90ドルを割り込み、一旦は90ドルを回復するものの、再び87ドルの安値へと下落した。また、ブレント、中東産は下落した100ドル台で推移している。今後の見通しは難しいが、この辺りから反転の動きに期待したい。原油安は、アメリカ、EUの株安が連動しているが、アメリカが夏場のガソリン需要期に入れば、原油価格の値上がりも見込まれる。
 一方、国内のガソリン需給は、不需要期であるため需給は緩和気味である。製油所の定期修理もあるが、販売の伸びが見込まれない。そのためガソリンの業転市況は、元売の買いが減少して需給が緩和しているため「海上高の陸上安」の本来のパターンに戻っている。
 不需要期であるため減販となっていることで、販売業者も安値販売での増販を狙う動きとなりそうだ。例年、連休明けから夏場に入るまではガソリン販売は低迷する時期である。だが、安値による増販を狙うのではなく、市況維持に努めるべきである。6月を乗り切れば、7~8月の夏場の需要期に入るため増販が期待できる。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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