日刊ニュース

2012.06.06 のニュース

4月販売電力用C重油で押し上げ ―ガソリン増販は前年減の反動―

 4月の石油統計速報によると、燃料油の販売は、前年同月比で4.7%増となっているが、増加しているのはガソリンとC重油であり、その他の油種は、軒並み減少している。C重油の販売増は、原発の稼働が停止していることから、石油火力発電用が増加しているためである。C重油以外の油種は減少するというパターンは今後も続くことになる。
 ガソリンの4月販売は447万KLで前年の430万KLに比べると3.8%増(17万KL増)となった。前年3月11日に東日本大震災が発生したため、前年4月が大幅の減販となり、その反動でプラスとなったものである。前々年の4月は477万KLであったため前々年比では12%の大幅減となっており、4月販売が前年比で増加しても、前々年に比べると低水準であるため販売数量の実数からみると低調である。
 4月の燃料油販売は、全体でみると1500万KLで4.7%増となっているが、その要因はガソリンの増販とC重油販売が228万KLで約100万KL増加の78.5%の大幅増となっているためである。
 C重油の増販は電力用であり、福島原発の事故の影響によるものである。全国の原発は、次々と定期点検に入ったが、再稼働に対して地元の了解が得られず稼働を停止しているため、石油火力にシフトしている。4月の電力需要(10電力ベース)は、節電の取り組みがあるものの前年比では微増となり、発受電電力は2.7%増加となった。発電の内訳は、原発が96%減(現在は全基が停止)、石油火力が45%増、水力が28%増となった。石油火力が増加したため、重油の受入は131万KLで前年比で159%増、原油は145万KLで223%の大幅増となっている。電力用C重油の増販が燃料油の販売を押し上げた形となっている。
 その他の油種をみると、ナフサは0.9%減、灯油は、気温が前年に比べて高かったこともあり10%の減となった。軽油は復興需要の下支えがあったものの2%減に止まった。A重油は、気温が前年に比べて高かったことや燃料転換が進んでおり13%の大幅減となっている。このようにC重油を除き、全ての油種でマイナスとなっている。
 4月の原油処理は1683万KLで8.2%増、353万バーレル/日で8.2%の増産となっている。前年製油所が操業を停止していたこともあり、稼働率が70.6%と低位であつたが、今年は78.8%とアップしている。石油製品輸入は306万KLで8.1%減、石油製品輸出は208万KLで75.9%増となった。前年は国内の供給を優先して輸出を抑えたが、供給余力が出てきたため輸出が増加となってきた。
 また、原油輸入は1875万KLで19.2%増、国別では一位がサウジアラビア、511万KLで9.7%増、ついでUAEが478万KLで20.1%増、カタールが215万KLで44.4%増となっている。一方、イランは90万KLで26%と大幅な減少となり、シェアも4.8%(前年は7.2%)となった。
 イランは核開発問題によってアメリカの禁油制裁を受けているが、日本政府としては、石油業界に対して輸入を減らすよう指導を行なっていない。しかし、結果的には各社の自主的な対応によって減少している。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
〒112-0004 東京都文京区後楽2丁目22-3
TEL:03-3814-4728
FAX:03-3814-4745
ユーザーID:
パスワード:
ログインする
e-BISTRADE