日刊ニュース

2012.06.21 のニュース

佐渡沖での基礎試錘の成果に期待

 資源エネルギー庁は18日、新潟県佐渡南西沖約30KM、水深1100Mの海底鉱区で国内石油天然ガスの基礎調査として掘削を行なうと発表した。掘削深度は海底面下約2700Mで、国の基礎試錐「上越海丘」(事業名)として実施するもので、今年度の予算では147億円を計上している計画である。この鉱区は、平成15~16年度に国の基礎試錐として旧ジャパンエナジー石油開発が掘削した地域である。今回の事業実旅者は鉱区を保有しているJX日鉱日石開発で、JOGMECが事業管理者となる。試掘は来年4月~6月を予定している。
 この事業は、エネ庁が平成20年2月に導入した三次元物理探査船「資源」による探査の結果、有望と判断され試掘を実施するもので、探査船「資源」の探査結果を踏まえた初の試掘となる。国内での新鉱区での発見が少ないだけに成果が期待されている。この探査船「資源」は、東シナ海において日中境界線での石油・ガス開発を巡る対立が続いたことから、国が探査船を保有し、日本周辺海域の石油などの資源探査を目的に購入したものである。千葉県船橋港を母港に調査を実施している。
 東シナ海の日中間での係争は、長く続いたが、07年7月の温家宝主席の訪日で「東シナ海を平和・協力・友好の海とする」との合意で前進、08年6月にはガス田の共同開発で合意を発表した。だが、10年9月に尖閣諸島で起きた中国漁船との衝突事件で交渉は中断している。また、資源確保の激化から日本の資源を管理。適切な実施主体で開発できるよう鉱山法を改正することで国内資源の確保に国が関与する方向を示した。
 国の基礎試錐は、旧石油公団時代には、5ヵ年計画として実施されていたもので、毎年、陸上1鉱区、海上I鉱区を掘削していた。日本は資源小国であり、国内の石油・天然ガスを確保するため、国が率先して探鉱に取り組んでいたもので、民間の開発企業では、開発が難しい地域に、国が予算を確保して挑戦したものである。実際の掘削は、民間企業が受諾して作業を行ない、探鉱・開発技術の向上、原油、天然ガスの発見に努めた。しかし、原油価格の下落により安易に原油が輸入できるようになり、さらに「石油公団の予算執行、運営が杜撰である」、「過去の基礎試錐で成果が得られていないため予算の無駄使いである」との批判が出て、石油公団の廃止(JOGMECへの移行)を機に、国の基礎試錐も停止となった。国の基礎試錐は、100%が国の補助事業であることも理由となった。その後、原油価格の高騰、国内の資源開発の重要性が認識されて基礎試錐が復活したが、重点地域を選択し、単年度で実施する方式に変更された。
 基礎試錐は、有望な鉱区であるが民間企業では開発が難しい鉱区を対象としているため、発見される確率は低い。商業化が見込める鉱区は、すでに民間企業が優先して実施しているためである。石油開発の成功率は、過去には「1000に3つ」と言われていたものが、開発技術が向上して「100に3つ」になったとの例え話もある。
 発見されても生産までの時間が長くかかるが、国内での開発となれば海外のように利権料もなく、回収コストが安くなるため期待されている。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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