2012.06.21 のニュース
製品下落でコスト割れ 足元では高値原油を処理 ~元売、市場連動制で苦戦~
原油価格急落でガソリンなどの製品市況が連動して下落している。足元の処理原油が高値であるため、コスト割れとなり、元売各社は苦戦している。原油価格下落で、東京工業品取引所の原油FOB価格が95ドル~96ドル/バーレル、これを円/L換算すると47円、灯油が58円、ガソリンが62円程度で推移しており、高値の処理原油とそれぞれ価格差が生じている。しかし、原油CIF価格でみると、5月上・中旬が124ドル/バーレル、為替が81円/ドル、これを円/L換算すると63円となり、先物の47円より高値となっている。灯油の先物、業転が58円であるため、原油CIFより、割安となり、完全なコスト割れである。足元の原油価格と5月のCIFを比較すると、大幅な価格差が生じるが、原油か大幅に変動する時期での市場連動制では、已むを得ないところである。原油CIF5月は124ドル/バーレルの高値となっており、現在、この高値の原油を処理しているため、コスト高となっている。
一方、石油製品市況は、足元の原油安を反映して値下がりしているため、コスト割れの状況となっている。これは、足元の原油相場を基にする値決め方式を採用しているため、已むを得ないところである。そのため、元売各社の業績はコスト面からみると、厳しい状況にある。さらに、在庫評価損も発生しており、これも大きなマイナス要因となっている。
結局、これらは原油処理高値価格でコスト計算するか、あるいは足元の安い相場でコスト計算するかの差が生じたものである。原油の値上がり局面ではプラスに働くため、一長一短は否めない。
今後、処理される原油は高値から安値のものに入れ替わるが、その時期に原油価格が高騰し、製品市況が値上がりすれば、これまでのマイナス分を挽回することができようが、その予測は難しい。