日刊ニュース

2012.06.28 のニュース

新政策日本海側に供給拠点の配置―資源確保戦略、広域パイプライン計画もー

 経済産業省は、来年度の新政策として、①資源確保戦略、②日本海側を中心とした地域への燃料供給拠点の戦略配置、③天然ガスシフト(広域ガスパイプライン、地下貯蔵、などを中心に取り組むことになる。災害時に備え、長期的な視野に立った戦略を推進する。
 福島原発事故によるLNG、石油火力へのシフト、石油のサプライチェーンの維持・強化、製油所およびSSなどの被害に対しての復旧・復興対策に、今年度予算、補正予算が組み込まれたが、現在、新しいエネルギー基本計画の策定を審議中であり、来年度はこの報告を基に新政策を打ち出す。
 資源確保戦略として、レアアースなどの鉱物資源、石油・天然ガスの権益確保に取り組む。原発の稼働停止でLNG火力へのシフトが進むことになり、自主開発ガス田の権益確保、権益の延長を支援する。地理的には東シベリア、石油・天然ガス開発では地理的には北極圏、東アフリカ、地政学的フロンティアとしてイラク、アフリカ等への日本企業の参
入を支援する。新しいシェールガス、シェールオイルの開発、大水深域での掘削にも積極的に取り組む。また、日本主導のLNGプロジェクトの積み上げ、北米からのLNG輸入ルートの構築、LNG供給サイドの構造改革に取り組むとともに、米国政府に対してLNGなどの日本への輸出を許可するよう要請している。
 そのため、政府と一体となった資源外交の推進、資源国に対してのパッケージ型協力、権益獲得に対して金融支援の強化などを行なう。
 災害時の国内供給体制の強化策A.しては、燃料の供給拠点となる製油所が太平洋側に坐}しており、今後、想定される首都圏直下型地震や連動型地震が発生した場合、日本全体の供給に支障が生じるため、日本海側に大型のターミナルを設置し、大消費地の太平洋側に輸送するインフラの整備を討画する。
 石油需要の減少のため、生産性の低い日本海側の製油所は廃棄された。唯一残っていた帝石トッピング(4724バーレル/日)も年末には操業を停止するため日本海側の製油所はゼロとなる。このため、日本海側への供給は、太平洋側から主にローリー、内航タンカーで供給されている。
 東日本大震災では、2ヵ所の製油所が1年にわたって停止したが、周辺の製油所は被害もなく操業しており、不足分は西日本から供給され、短期間で供給を確保、石油は災害に強いこと実証された。だが、太平洋側の製油所は全国で約68%(うち関東38%)、油槽所は54%(26%}、LNGは81%(41%)と集中している。首都圏、東海~南海地震など大型震の発生確率が高いとされており、これを想定して日本海側での供給拠点の戦略的配備が重要となる。合理化追求のなかで設備を廃棄したが、災害時に備えた安定供給には新たな供給拠点が必要となるという、矛盾した対応が求められる。
 天然ガスシフトの目玉策として広域パイプライン構想と地下貯蔵が検討されている。広域パイプラインは、4つのルートを設定してコストを約1兆8000億円と試算している。
石油連盟では、価格低減の効果、国民のコスト負担、天然ガスに対する税制などの優遇措置を疑問を投げかけ、反対している。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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