2012.07.17 のニュース
ガソリン続落から値上げ ―業者、減販で苦戦も立て直しへー
みずほ総合研究所の調査(9日)によるガソリン市況は、平均で139円/Lとなり、前週に比べて1円の値下がりとなった。参考値では139円40銭で前週の139円80銭に比べると僅か40銭の値下がりとなるが、四捨五入では1円の値下がりとなる。14週連続の値下がりとなり、4月初めが158円であったため、19円の値下がりとなる。
しかし、仕切価格は7日から2円程度値上がりしており、ユーザー転嫁も浸透しているため、来週の調査では末端市況は値上がりするものとみられる。これから7月~8月のガソリン需要期に入るため、増販が期待されていることから、価格競争のエスカレートが懸念される。6月は入梅で販売減となったが、7月に入っても気温が上がらず、九州、中国
地方で大雨が続き、週末は天候不順が多く減販となっている。そのためまずは14日~16日の連休に期待がかかる。ガソリン販売は、好天気で気温が上昇することがポイントとなるが、7月も6月と同様に出足は鈍い。エコカー減税で新車の販売は増加しているが、小型の省燃費車が多いため、ガソリンの増販には繋がらず、販売業者も苦戦が強いられている。
一方、元売は4月~6月は原油価格の急落で在庫評価損が発生したため業績は悪化しそうである。原油下落で仕切価格も値下がりしたが、市況も急落したためマージンが減少してダブルパンチを受けている。原油価格、為替の変動という、企業努力では手が打つことができないところで業績が大きく左右するため、元売も厳しい立場にある。
原油価格をみると3月のWTI(平均)が106ドル/バーレルであったものが、4月が103ドル、5月が95ドル、6月が82ドルまで続落、足元は86ドルに反発して推移しているが、3月に比べると20ドルの値下がりとなっている。ドバイは3月が123ドルであったものが、足元は96ドルで27ドルの大幅な値下がりとなっている。この原油価格の急落で在庫評価損が発生する。
原油価格は6月末に急騰したため、ガソリンの仕切価格は7日(土)から2円の値上がりとなった。本来ならば末端市況は値上がりするところであるが、調査価格は逆に1円の
値下がりとなった。これは仕切価格が6月23日(土)と30日から各1円の値下げで累計2円の値下がりとなり末端市況の値下がり状況が続いたためで、9日(月)調査では、その延長線で下落したことになる。
仕切価格は土曜日に改定されるが、値上げの場合は、ユーザー転嫁が、3日ほど遅れて火曜日頃となるのが通例である。原油価格が連続して高騰すると予想される場合は、即日値上げするケースもあるが、小幅な値上げとなると、周辺のSSの価格を窺いながらの値上げとなるので反応が遅れる。場合によっては、値上がり分をかぶるケースも多い。
SSのタンク在庫は値上げ前の安値で残っていることもあり、ユーザー確保のため値上げを遅らせることになる。仕切価格の小幅な変動が続くと、ユーザー転嫁のタイミングを
失い利益を吐き出すことになる。
また、仕切価格が連続して値下がりすると、先取りして値下げすることになり、下落が加速することになる。「値下がりは早く、値上げが遅れる」ことが販売業界の商慣行となっている。