2012.07.19 のニュース
ガソリン減販傾向が強まる ―加えて次世代車の普及が拍車をかけるー
ガソリン販売の減少傾向が強まるとの見通しが出ている。2012年度に入り、豪雨などの天候不順もあって販売減が目立っているが、元売、販売業者もこれを痛感している。東日本大震災以降、景気後退のため減販が続き、昨年は上期が4%減と低下しているが、今年はそれ以上の減販となっている。資源エネルギー庁は石油製品の需要見通しの作成を2年停止しているか、業界による調査では減販見通しが強まっている。因みに10年度の5年間の見通しでは年率3%減を見込んでいた。
ガソリンの減販の要因は、人口の減少、ハイブリッドなど省燃費車の普及、ガソリン高による節約、若者のクルマ離れ、などがあげられる。加えて、8月末に策定される新エネルギー基本計画(2030年)では、次世代自動車の普及を促進する計画が含まれ、これがガソリンの大幅減販に拍車をかける形になる。
ガソリン販売は、ピークの04年度が6148万KLであったものが、06年度で6000万KLに、09年度には5760万KLに減少、10年度では5816万KLと、前年度比で1%増となったが、11年度は震災の影響もあって5721万KLで16%減(上期3・9%減、下期は0.7%増)となった。
日本エネルギー経済研究所では、12年度のガソリン需要を2.1%減と予測している。これは省燃費車の普及による燃費の改善の影響としている。一方、長期のガソリン需要見通しとなると、次世代自動車(EV、燃料電池自動車、プラグインハイブリッド)の普及を、どうみるかによって大きく数量が変わる。導入が本格化すればガソリンは激減する。
次世代自動車の普及については、数年前にも議論となり、販売業界でも、この動きを先取りし、次世代SSについて識論したが対応策は見当たらず、今後もガソリン車の時代が続くとみて、議論を打ち切っている。普及が本格化するにはまだ時間がかかり、ガソリン車の買い替えは10年以上とみられ、今後10年以上はガソリン車が市場に残ることになる。燃費改善でガソリン販売は減少が想定されるが、足元のSS経営を健全化するためには、まずマージン確保に努めることが現実的である。
次世代自動車が本格的に普及することになれば、現状のSS(販売業者)では対応が難しくなるが、普及には、蓄電池の技術開発において性能が大幅に向上することが不可欠であり、簡単には、新しい時代は到来しないと販売業者はみている。それ以前に、赤字傾向であるSSの経営状況そのものが問題となっている。
次世代自動卑の普及に関する計画では、EV(電気自動車)について、現在約0.4%ある新車販売台数に占る割合いを、2020年時点で15~20%と目標設定している。これを実現するために、蓄電池の増産効果による価格の低減に努める。また、技術開発によるコスト低減を図るとともに航続距離を現在の120~200KMを2020年までに2倍にする。インフラ整備は、同じく普通塞電機200万基、急速発電機5000台を加速的に整備することを目標としている。燃料電池車の普及については、水素ステーションの設置などコスト面からみても、かなり先の話となるが、この計画において、販売業者の出番はない。