2012.07.23 のニュース
新エネルギー計画策定詰め ―各委員会報告を事務局で調整―
新しいエネルギー基本計画の骨子は、月末に決まる。最終的な計画策定は、政府によるエネルギーミックスの選択肢決定を待って、8月末に行なわれる。手順としては各地の聴取会での意見を参考に政府が決めるが、全般のエネルギー政策は大詰めの段階にあり、各分野の委員会で審議して報告を取りまとめており、その意見が採択される。
最終報告は、総合資源エネルギー調査会基本問題委員会でとりまとめるが、事務局(経済産業省)が調整することになる。原発問題は、「反原発」と「原発推進」の意見が対立して攻防が展開されたが、その他のエネルギー問題については、専門的な見識には委員間でも温度差があり、事務局に任せる状況にある。そのため事務局案がそのまま採用されそうである。
すでに石油精製、LPG、石油販売業界、石油開発(資源確保戦略)、天然ガスシフト、水素・蓄電池、などの各分野での審議を終えているため、今後は若干の手直し、表現の修正となる。今回のエネルギー計画の見直しは、福島原発の事故による原発政策の白紙での見直しにあるため、大半が原発問題に時問をかけている。そのため石油、エネルギー策などは災害時に対応してのインフラの設備、資源の安定供給確保策などが中心となっている。これら政策提言を、今後、実行するための新しい措置、制度設計、予算確保が課題となる。来年度の予算要求は、8月末となるため、時間的にも、ギリギリのところである。税制改正の要望ヒアリングは8月初めとなる。
エネルギー基本計画に織り込まれる具体策としては、石油製品の供給システムの再構築では、SSやLPG販売所が地域の供給の最後に拠り所となっていることを踏まえ、石油、
LPG基地の災害対応能力と供給体制の強化となっている。SS、製油所、油槽所の強化では予算措置が講じられているが、ガソリンの需要減と価格競争の激化によるSSの減少過疎化問題が出ており、その防止策が課題となっている。さらに、首都直下地震や、東海・東南海・南海地震(三連動地震)の発生が予想され、これら緊急時に備え、太平洋側の大消費地への供給体制(日本海側に大型ターミナルの建設など)や海外との連携(韓国との共同備蓄)などの推進をあげている。
資源・燃料の確保策としては、原発事故以降、LNG、石油の高騰により、調達コストが増大しており、化石燃料の安価かつ安定な供給が喫緊の課題となっている。また、シェールガス等の新規供給源へのアクセスや調達先の多様化、調達コストの削減をさらに推し進める。
天然ガスシフトのインフラ整備の推進では、大都市間での天然ガスパイプラインの接続により、利用の拡大やガス価格の低廉化を狙う。広域パイプラインの建設によるLNG火力発電所を含むネットワークの整備、沿線沿いの需要の拡大、地下貯蔵の活用による備蓄機能の強化も検討すべきとしている。
このような計画に対し、石油連盟ではサプライチェーンを維持するために、2020年の石油需要は1.8億KL(10年度は1.96億KL)を維持すべきであり、石油火力の電源構成は17%(09年度は7%)に引き上げるべきと主張している。