2012.07.31 のニュース
仕切価格の改定幅はほぼ同額 ―週ごとで格差生じるも調整されるー
元売各社のガソリン仕切価格の変動幅は、7月7日(土)から月末までの3週間の累計で、1円60銭~70銭/Lの値上がりとなった。元売別ではJX日鉱日石エネルギー、出光興産昭和シェル石油が各1円60銭の値上げ、EMGが1円70銭の値上がりとなり、3週間で集計すると、ほぼ同額の変動幅となる。週別でみると7月7日からの第一週はJXが1円90銭上げ、出光が2円10銭の値上げと30銭の格差がでるが、14日からJXが1円20銭、出光が1円30銭の値下げ、21日からJXが90銭、出光が80銭の各値上げとなり、上げ、下げを相殺するとそれぞれ1円60銭の値上がりとなる。EMGが第一週が2円上げ、第二週が1円30銭の下げ、第三週で1円上げとなり、累計で1円70銭上げとなった。
仕切価格の変動は原油価格、為替のコストの変動をみて、これに業転、先物市況、他社の動きなどを総合的に判断して打ち出す。そのため、毎週の値動きは小幅な差が生じるが、
3週間を経ると調整され、ほぼ同額となる。原油価格などのコスト変動は各社同じであり、業転市況の見方で差が出ても大きな違いがないためである。
仕切価格の通告は金曜日、実施は土曜日となっている。販売業者のユーザー転嫁は、値上げケースでは、安い在庫があるため火、水曜日と遅れることが定着している。一方、値下げケースの場合は、先取りしての早めの値下げが商慣行となっており、販売業者の負担となる。
仕切価格は、金曜日に通告となるが、EMGは外販(業転)価格を1日前の木曜日に打ち出すため、この価格を見て、元売、販売業者も対応することになる。市況形成は、EM
Gの外販価格が方向を示し、これに追随する形となっている。7月の値動きも第一週でガソリンの外販は2円50銭の値上げとなり、10日、14日で各50銭下げで一戻したが、4月以降初の値上げとなり、販売業者もユーザー転嫁に取り組んだ。原油価格が6月末に急騰したこともあり、販売業者も仕切価格の値上げに足並みを揃えた。首都圏では、7月10日頃からボトム価格を3円~5円値上げし、138円に引き上げた。
17日のみずほ総合研究所の調査価格は、全国平均が140円となり1円の値上がりとなったが、東京が1円40銭、神奈川が2円10銭の値上がりとなった。続いての週は小幅な下げとなったが、このようにユーザー転嫁は早めの対応となった。
仕切価格の改定では、元売各社間での格差は生じない。緊急時や需給がタイトな状況、逆に供給過剰で市況が急変する場合は、一時的に格差が生じる場合もあるが、平時ではほぼ同額となる。地域による格差は存在するが、石油製品そのものは差別化できない商品である。
ただ、仕切価格と業転価格との間には5円~6円以上の格差が存在している。そのため元売間の仕切価格の上げ下げについては、一時的には格差が生じるが、その後には調整さ
れる。仕切価格での格差が長期に亘れば、販売業者に不満や反発を招き、系列を変更するケースが出てくる。豚元業者が自社の系列仕切価格は、他社に比べて高値であると不満を述べることもあるが、総合的にみれば同類であることを納得して、取引きが継続している。