2012.08.01 のニュース
大口C重油 値決めは大幅な変動 ―3ヶ月ごとのコスト変動方式のためー
JX日鉱日石エネルギーが7~9月期の大口C重油価格を打ち出したが、円高、原油下落を受けて大幅な値下がりとなった。4月~6月が大幅な値上げとなっており、価格変動が目立っている。7月~9月のHSC重油は5万6800円/Lで前期に比べ9750円の値下がり、LSC重油は6万5670円で1万3790円の大幅な値下がりとなる。
4月~6月はHSC重油が4450円の値上げ、LSC重油が9070円(未決)の大幅値上げとなっており、値上げと値下げが相殺されることになる。この7月~9月の打ち出し価格を参考に、販売業者もユーザーとの交渉に入るが決着がつくのは9月末頃となる。
原油価格をドバイでみると1月平均が110ドル/バーレル、2月が116ドル、3月が123ドルと値上がり高値となったが、その後は4月が118ドル、5月が107ドル、6月が95ドルと下落している。6月末から7月入りで値上がり、足元では100ドルに乗せている。
また、HSC重油の7月~9月期のフォーミュラによる原油価格CIFは104ドルとなり前期の4月~6月の121ドルに比べると17ドルの値下がりとなる。LSC重油対象の原油CIFは112ドルで前期(4月~6月)の136ドルに比べると24ドルの大幅値下がりとなっている。4月~6月が136ドルで1月~3月が123ドルであったため、13ドルの値上がりとなっている。このように原油価格は流動的であり、大幅な値上げ、値下げが繰り返されるため、見通Lも難しくなっている。
だが、大口のC重油価格の値決めは、3ヵ月ごとのコスト変動方式で実施されている。一方、ガソリン、灯油などのマス商品の燃料油は、週決めの市場連動方式で実施されており、異なった価格体系が存続している。そのため値決め時期のズレが生じ、大口C重油が値下がりしているが、ガソリンは値上げという状況になるが、混乱なく推移している。
また、打ち出しの7月~9月期価格において、そのコスト(為替、原油価格)は、1ヵ月前の6~8月が対象となる。打ち出しの時期は7月末であるため、1カ月半ずれることになり、8月末までののコストは推定となる。そのため8月でコストが大きく変動すると、9月末の陪賓価格時では、打ち出し価格に対して異なる数値がでることになる。
HSC重油の場合は、4月~6月分は決着している。4月の新年度入りを機にフォミュラのありかたを見直し、生産品とボンドバンカーの合成比率を、これまでの73%対27%から74%対26%と、生産品の比率を引き下げて4月~6月価格を決めている。そのため7月以降の値決めには、コスト変動(原油価格、為替の変化分)が値決め価格に反映されており、変動幅は縮小傾向にある。
しかし、LSC重油は、4月~6月分は、未定であり、従来の方式で算定している。コスト変助分は、そのまま反映させるが、その他の経費の取り方、原油(生産品、直脱品C
IF価格)、国際価格との合成比などの扱いは新年度入りで検討することになっている。
LSC重油は、主に電力向けとなるため、現在、電力料金と燃料費のあり方が問題となっていることもあり、値決めは遅れているようである。そのため4月~6月と7月~9月を一括して値決めすることも予想される。