2012.08.03 のニュース
電力用C重油増販 他油種の減販をカバー ―ガソリン4月~6月微増は前年減の反動―
6月の燃料油販売は1433万KLで前年同期比で2.5%増となり、7ヵ月連続プラスで推移している。販売増の要因は、C重油全体の販売が209万KLで44%と、大幅増となっているためである。電力10社ベースの重油受入は119万KLで109%増、原油は114万KLで88%の大幅増となっており、他の燃料油の販売減を電力C重油がカバーするパターンが続いている。
油種別には、ガソリンが2.7%減、ナフサが3.2%減、軽油も0.8%減となっている。一方、灯油は前年の販売が低水準であったため、その反動で9・5%増、A重油も同様に4・1%の増となっている。暖房シーズンが終り不需要期であるため、販売数量でみると灯油は59万KL、A重油は95万KLと少ない。
4月~6月販売の3ヵ月の累計でみるとガソリンは0.2%増、ナフサが0.3%減、灯油が7%減、軽油は2.4%増、A重油は2.5%減、C重油が63%増となり、合計では5.6%増となっている。
このような電力C重油の増販は今後も続くが、原発の祖稼働の動向と他のLNG、石炭火力の稼働状況と関係してくる。電力需要は、景気回復の遅れ、節電対策の浸透で増加は
難しい。この状況下での原発の再稼働については、大飯原発に次ぐ稼働は難しいようである。そして、このまま夏場を無事に過ぎると、次には冬場の需要期対策となる。いずれにしても原発の不足分は火力発電でカバーすることになるが、その優先順位はLNG、石炭となり、最後が石油となる。電力会社は、優先的にLNGを調達しており、政策面でも天然ガスシフトが課題として取り上げられている。
こうした状況の中、LNGの供給確保が重要となるが、アメリカのシエールガスに期待して、日本政府も輸出を要請しているが、アメリカ政府の許可を得ることは容易ではない。世界でLNGプロジ`エトが立ち上がることもあり、供給は確保されるとの見方もあるが、福島原発の事故以降、LNG価格が高騰しており、輸入増の影響で貿易収支が赤字となるなど調達コストの低減という新しい問題が提起されている。
また、ガソリンは減販が予想されている。4月~6月の販売は0.2%の微増となっているが、これは前年の販売が低調であった反動である。足元の6月~7月が減販となっているため実感としては販売不振という受け止めが強い。2030年には、10年比で60%減少(総合資源エネルギー調査会の報告)する見通しも出ており、今後、増加する見込みはない。しかし、この見通しは人口の減少、燃費改善、EVなどの次世代自動車の普及目標を最大値として予測しているもで、石油業界では過大に減少予想したものであると見て
いる。この見通しに過敏に対応する販売業者もいるようで、数字のひとり歩きが懸念されている。
軽油は復興需要増が見込まれているが、微増にとどまると見られている。景気の回復による貨物輸送の増加と復興事業による重機の稼働増加が期待される。灯油は、震災後に灯
油需要が増加すると見込まれ、昨年は夏場で増産、在庫の積み増しで安定供給に備えたが、需要増は期待外れとなったことから、今年は慎重な構えで需給に取り組むことになる。