2012.08.16 のニュース
税の二重取り廃止を
社会保障と税の一体改革関連法案が10日成立した。現在5%の消費税率が2014年4月から8%に、15年10月には10%まで引き上げられる。これによって購入する品物の本体価格にその価格の1割の税金が上乗せされることになり、消費者の負担はずしりと重くなる。しかし、ガソリンの場合、そのずしり感はさらに深刻だ。
ガソリンには石油石炭税とガソリン税が課せられ、本体価格とそのおよそ倍に近い税金にも消費税が課せられている。いわゆるタックスーオンータックスである。その石油石炭税とガソリン税分に課せられる消費税は、5%の場合で全体で約1700億円、これが10%になると倍の3400億円になるのである。
この増額分の1700億円は消費者が負担するが、転嫁できない場合は、その分を石油販売業界が負担する。消費税導入時や3%から5%への増税時に、ほとんどの石油販売業者がすぐに転嫁できずに自己負担した経験を持つ。
消費者に3400億円もの巨額な負担を強いるガソリン税のタックスーオンータックス。転嫁不足の場合、石油販売業者に税金分の負担を強いるタックスーオンータックス。
今回、成立した税制一体改革法の第7条には「消費課税については、消費税率の引上げを踏まえて、次に定めるとおり検討すること」とあり、「酒税、たばこ税及び石油関係諸税については、個別間接税を含む価格に消費税が課されることが国際的に共通する原則であることを踏まえ、国及び地方の財政状況、課税対象となる品目を巡る環境の変化、国民生
活への影響等を勘案しつつ、引き続き検討する」とされている。
89年の消費税導入時に、物品税などほかの個別間接税は廃止され、酒税、たばこ税はタックスーオンータックスながら税額が調整された。ところがガソリン税は道路特定財源であることを理由に、なんら調整されず単純併課になった。
しかし、09年に道路特定財源制度は廃止されているから調整されない理由は消えた。また、前述の通り検討項目の中に「検討する」と書かれているし、生活必需品の軽減税率の導入などの課題も積み残したままだ。我々石油販売業界は「税金の二重取り許すな」と消費者に訴えてきた。国は増税実施までに消費者の負担軽減のためタックスーオンータックス廃止を実現すべきである。