日刊ニュース

2012.08.24 のニュース

石油関連予算要求は増額見込む ―災害強化対策、資源確保策が重点にー

 来年度予算要求が8月末に作成される。例年通りの作業となるが、政局が混迷しており「近いうちに解散」が実施となることから、新政策の打ち出しも難しく今年度事業の継続が重点となる。国会が消費税の増税を巡って対立、3党合意で成立したが、その条件として解散が決まったことから、政局は選挙に向けて動くことになった。解散の時期は、10
月~11月が予想されており、選挙の結果、政権交代となれば年末の予算編成で要求案の組み替えとなる公算も強い。3年前の民主党政権に交代した時と同じ状況が予想される。
 状況は流動的となっているが、予算要求の作業は行なわれている。遅れていたシーリングもようやく決まり、30日頃に要求をとりまとめる。作業は財務省と経済産業省の事務局ベースで進められているが、予算編成となると政党が絡む案件は、年末の政府案の策定時に織り込む。
 石油など、エネルギー関係の予算要求は、現在、総合資源エネルギー調査会でエネルギー基本計画の審議をしている過程にあり、間題が提起されているため予算要求には追い風
の状況にある。東日本大害災を機に、石油の安定確保、サプライチェーンの維持・強化、製油所などの災害対策、災害対応型SSの増強、石油・天然ガスなどの資源確保、天然ガスシフトなどが審議されており、これらの事業には今年度も予算措置が講じられる。来年度もその延長線上で、予算の確保はできそうである。
 遅れているエネルギー基本計画の策定は、石油などの他のエネルギー政策の重点策について早急にとりまとめる方向にある。これは、政府の原発依存度のシナリオの決定が遅れ
ているためで、原発問題を除いたエネルギーの推進策を先行して打ち出すことになっている。
 石油関係予算では、災害対策の強化予算となる。平時からサプライチェーンの維持・強化に努め、SSについては、安全・環境の規制強化や過疎化対策に取り組む。また、次世代車への対応などSSの経営力の向上、人材育成を支援する。製油所、油槽所、SS、LPG基地の災害対応の強化、災害時に要請に応じた石油製品、LPGの供給のための国・自治体・事業者間の連携強化、太平洋側の巨大地震に備えた石油製品供給のバックアップ休制を整備、海外との連携強化など、これらを検討するための予算措置を見込んでいる。
 資源確保策については、天然ガスの開発、天然ガスシフト対策が急務となってきた。原発事故を機に石油、LNG火力へのシフトが増加、化石燃料の調達コストが増大したため、
31年ぶりに貿易赤字に転落するなど日本経済への影響が大きくなってきた。そのため資源調達コストの低減、供給確保も課題となる。
 世界は天然ガス時代の到来と提起され、シェールガスの開発など新しい供給ソースを求めて開発が進んでおり、日本を業も開発に参加する動きもあるため、支援体制を強化する。
国内では、広域パイプライン構想が打ち出されており、また、天然ガス地下貯蔵も検討することになっている。そのコスト負担を巡って、ユーザーか企業か国(税金)か、今後に
課題を残すが、調査、検討が始まる。このようにエネルギー関係予算は増額要求となるが、来年度予算で確保できるか注目されるところである。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
〒112-0004 東京都文京区後楽2丁目22-3
TEL:03-3814-4728
FAX:03-3814-4745
ユーザーID:
パスワード:
ログインする
e-BISTRADE