日刊ニュース

2012.08.27 のニュース

製油所での事故が増加

 製油所の火災事故、ガス漏れ、事故隠し、点検不備などトラブルが多発している。東日本大震災で製油所が2ヵ所被害を受け、1年以上操業を停止していたため安定供給に努めてきたが、ここにきて製油所での事故が目立っている。これ以上、事故が増加すると操業を停止する製油所も増え、結果的には減産となり供給にも支障が生じることになる。
 業界全体では、設備過剰であるが、会社別でみると供給体制では厳しい状況となる。これから冬場に向けて灯油などの在庫の積み増し、冬場の需要期での供給確保に問題が生じかねない。今回の事故は、製油所ごとに状況が違うため、各社で事故の原因究明に努め、再発防止策を打ち出し関係官庁に申請している。すぐにでも操業再開へと取り掛かりたいところだが、相次ぐ事故で信頼は失われている。石油業界には共通認識を持って、再発防止策などの検討が求められている。
 事故の要因は、点検での不備隠しなど人的ミスもあるが、設備・機器の不良によるもの、操業運転におよぶものなど多岐にわたっているため、個々の情報、問題点を交換するなど
の方策も必要となってきた。法令違反のケースは問題外であるが、機器、部品のチェックなど、再発防止の取組みに関する情報交換が必要となる。規制強化となると関係当局の問題となるが、今日の自主検査体制を維持しながら業界内部での事故防止策が求められる。製油所の老朽化、経年劣化などが指摘されているが、法令遵守で操業している状況での事故であるため、原因究明が第一となる。
 製油所は簡単に新設できるものではないため、老朽化を事故原因として問題を解決することはできない。製油所の建設は昭和50年が最後であり、それ以後の新設はない。昭和48年の石油危機以降、国内の石油需要は減少を続けている。そのため精製能力も昭和55年のピーク594万バーレル/日から減少、一時は455万バーレル/日になったが、平成12年に527万バーレル/日に増加した。その後は再び減少し、足元では488万バーレル/日に減少している。原油処理は390万バーレル/日であり、計算上は約100万バーレル/日が余剰となっているが、安定供給を考えると70万回~80万回/日多
く処理する必要がある。現在、エネルギー高度化法に基づき、設備処理が実施されており、採算が低い小規模な製油所は、廃棄されているが、念で設備は減少することになる。
 国内の需要は、原発の稼働停止により石油火力で代替発電しているため電力用C重油が急増しているが、その他油種は増加が見込めず減少する。だが、C重油の需要増加も一過
性であり、長期的に見込むことは難しい。現在、審議中のエネルギー基本計画でも石油火力の新増設はなく、その構成比は5%程度と見込まれている。仮に需要増が今後も続い
たとしても、C重油の増産は国内の需給バランスを崩すことから輸入で対応するため、国内生産の伸びは見込めない。
 このように、次第に設備は減少し、設伽の再投資が可能となる利益を確保することが難しい現状を踏まえると、製油所の新増設はなく、老朽化が進行する。製油所の事故をなくし安全操業を確保することと、過剰設備の処理、老朽化の防止は今後の石油業界の大きな課題となる。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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