日刊ニュース

2012.08.27 のニュース

系列SSの足を引っ張る過剰

SS数が17年連続で減少し、この3月末には3万7743ヵ所となった。15年連続で純減数が1000ヵ所を超えてもいる。
 17年間の廃止SSの累計は3万1290ヵ所、新設累計は8612ヵ所。この新設が全部、生き残っているとすると、1995年3月末に存在した6万421ヵ所のうち、現在まで生き残ったSSは2万9131ヵ所となる。生存率は5割を割り込む。
 東日本大震災で3製油所、原油処理量で日量61・75万、国内能力の14%が完全停止に陥った。物流混乱が重なったことで、ガソリン不足が列島を覆った。しかし、ごく短期間で混乱は収束した。
 事故や法令違反などによって、現在3元売の70万が止まっており、国内の能力停止は、大震災直後を上回る16%に達する。実に石油製品の生産力の6分の一が欠落している。それでも国内の需給が引き締まる方向に向かない。
 需要の減少という要因は極々わずかで、国内に現存する精製能力が、明らかに過剰であるという厳しい現実を元売に突きつけているように見える。この6月までの元売決算・石油部門の出血度合いが、過剰元売ほど深く、高度化法に目途を付けた元売ほど浅く見えるのは、偶然の産物なのだろうか。
 一般的に、性状に差異のない製品は、生産過剰なら生産粗利の縮減、過少なら粗利は増大する。液晶パネルや太陽電池パネルでさえ、その暴落が、日本の家電の雄を頓挫させようとしている国際競争の結果がある。どうやら我らが元売の石油事業部門は、こうした厳しさからは、異次元のような距離を置いたところにいるらしい。液晶や太陽光よりも、自らのガソリンのほうが、確固としたブランド力を有していると信じているらしい。
 SS数はピークアウトして以降、当時の生存者は半分以下となった。精製過剰が常態となり続けたことで、このうち、どれだけの仲間が、不公平・敵塩の類の実質卸格差によって、この業界を去っていったのだろう。現在の元売の収益悪化は、断じてSSのせいではない。自らが身の丈に合った生産をしていないことが、その元凶である。特に系列SSは、過去もそうであったように、系列外SSに利する生産過剰によって、自らの収益の足を引っ張られているのだ。

提供元:全国石油商業組合連合会
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