日刊ニュース

2012.08.29 のニュース

石油の災害時対策は要望通り ―エネルギー重点策に織り込みー

 総合資源エネルギー調査会基本問題委員会は、23日に開催され、エネルギーに関する今後の重点施策をまとめた。新しいエネルギー基本計画は8月末にまとめる予定であったが、政府の「エネルギー・環境戦略」の柱となる原発依存度の選択肢の決定か9月に遅れているため、原発以外のエネルギーの重点策を先行してまとめたもので、来年度の新政策、予算要求に織り込むことを意図したものである。このエネルギー基本計画に織り込まれれば、新政策として予算措置が講じられる公算が強い。
 石油関係では、東日本大震災後の原発の稼働停止により、これに替わってのLNG、石油などの化石燃料の安定供給確保、天然ガスシフトの推進、資源確保策、石油製品備蓄の
増強、国内のサプライチェーンの維持・強化などがあげられている。とくに、災害時での石油製品、LPGの供給再構築、供給能力の強化、平時からのサプライチェーンの維持・強化に取り組むとになっている。すでに今年度予算、補正予算でも実施されているが、来年度以降の予算にも計上が見込まれている。災害対応策としての石油業界の要望は、ほぼ受け入れられている。来年度予算のシーリングでは10%カットであるが、グリーン政策(エネルギー、環境)は特別枠が設けられている。
 防災対策としては、製油所、油槽所が太平洋側に集中している首都圏・東海地域で首都直下地震や南海トラフ巨大地震が発生すると、日本全体の石油製品、LPGの供給能力か毀損する恐れがあるため、日本海側に、大型のオイルターミナルを建設する構想もある。また、SS、LPG販売店は、地域のエネルギー供給の最後の拠り所であり、緊急時に最も機能を発揮する供給拠点となるが、SSは年間1000件を超える減少が続いており、災害時、消費者への供給が滞る恐れがあるため、平時から安定霊要を確保することが重
要である、と指摘している。
 災害時における対応能力の強化策としては、全国に確実に供給するための精製・備蓄機能の強化、流通機能の強化(油槽所、SS、LPG基地の強化)、また、災害時に迅速に供給できるよう国・自治体・業者間の連帯体制の強化をあげている。
 供給拠点の強化策としては、石油製品の国家備蓄を増強する。現在は原油と灯油をそれぞれ約1日分保有しているが、災害時に備えて石油製品の備蓄を増強する(備蓄法の改正)。また、SSに自家発電設備を設置するとともに、緊急車両への供給に万全を期すため地域において中核SSを整備し、震災時における情報供給拠点として石油組合を明確に位置づける。
 非常時の国内の供給体制整備としては、災害時におけるローリーの長大・水低トンネルの通行許可などや海外との石油製品の融通などの連携を検討・推進する、としている。
 石油製品のサプライチェーンの維持・強化策としては、関係法令の運用により販売業における公正・透明な環境の整備や品質の確保を推進するとして、①SSの地下タンクの入
れ替え、漏洩防止措置を支援、②SSの過疎地、離島対策の解決、③SSの経営力向上や人材育成、次世代車の普及を見据えた新たなビジネスモデルの構築に向けた支援を行なう、ことをあげている。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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