2012.09.04 のニュース
エコカーの次は走行再支援を
エコカー補助金による駆け込み需要が伸び悩んでいる。新・エコカー補助金は、昨年12月~来年1月末まで、自家用・事業用計で約3000億円の予算が講じられており、うち自家用車には2747億円が充てられ、29日現在の残額は277億円、累積申請件数は261万台。単純試算すれば、今後の補助対象は29万台強と見込まれる。また、交付決定された146万台の内訳は登録車が67%、軽自動車が31%という比率だ。
今年1~7月の新車販売は、前年比で登録乗用車が53%増、軽自動車が49%増。ただ、8月は失速と伝えられ、買い替え意欲の高いユーザー層が一巡したとの声も聞かれる。旧・エコカー補助金は経済対策として09年4月から1年間、予算3570億円で実施され、申請件数274万台にのぼったのに加え、補正予算2300億円で半年間延長、177万台を深掘りし、合計5870億円・451万台のエコカーを市場に後押しした。ちなみに、近年の新車需要は460~490万台だから、相当の支援である。新旧補助金の総額は8870億円・750万台弱にも達することとなる。
エコカーが増え、SSはどんな影響を受けているか。だれもが痛感しているが、ガソリン需要減は顕著だ。補助金の恩恵は、やや割高感を持つHVと日常の足となる軽自動車に向いているとの見方は多い。そして、低燃費車シフトは給油頻度の多寡に直結する。「給油ありき」に固執すれば、消費者との接触機会は確実に減り、HVユーザーの来店回数は“半減”が必定となる。
他方、消費者にとっては、エコカー購入に伴う負担感を緩らげるガソリン代の節約は、合点がいく現象だ。高齢者人口の増加も、中・大型車の見映えより使い勝手の良いコンパクトカーといった意識変化に拍車をかけている。余裕のある高齢者がクルマ関連支出を減らし、若年層はクルマへの関心が薄れ、せっせとケータイ向け支出を手当てするのが当然の消費スタイルになっている。また、HVや軽の増勢も止まらない。
我々はこれを承知で臨まざるを得ない。ただ、エコカー支援のあとにそろそろ新「高速特割・観光特割」のような地域間交流の活性化に資する政策がほしい。SS店頭では、エコカーというハードの次に、ドライブ促進のためのソフトを期待する声をたくさん聞いている。