2012.09.05 のニュース
ガソリン7月販売は500万KL割れ -電力用C重油は増販が続く-
ガソリンは減販傾向で推移しているが、C重油の増販が続いており、燃料油全体では増加となっている。
電力C重油の増販は、原発の稼働が停止している結果である。C重油の4月~7月販売は前年比で56%増となっているが、増販分な輸入で対応しているため、国内の生産は、大幅な増産とならず、他油種の供給過剰で石油製品の需給バランスが崩れることなく、石油製品需給は安定して推移している。
石油統計速報によると7月のガソリン販売は499万7000万KLで前年同月比で1・5%減となり、僅かであるが500万KLを割り込んだ。前年の7月が507万KL、前々年7月の530万KLに比べると大幅な減販となる。
今年の6月は台風の上陸など天候不順もあり、2・7%減販となった。7月も減販となったもので4月~7月の累計では0.2%減で推移している。前年比では横ばいであるが、今年は震災復興と景気回復で増販を期待していたため、その反動が大きい。しかし、8月は猛暑で増販が見込まれ、昨年の545万KLを上回る小幅増となりそうである。
ガソリン販売は、省燃費車の普及、若者のクルマ離れ、節約の浸透などから今後も増販要因は見込まれないが、8月は夏季休暇の帰省での車の利川、景気の回復や猛暑を頼りに増販を見込んでいた。
一方、7月の燃料油販売は1580万KLで1・7%増となり8ヵ月連続して増販となった。4月~7月の累計では4・5%増となっている。
ガソリン、ナフサ、A重油が減販となったが、C重油油が36・9%、灯油が7・9%、軽油2・6%の増販となっためである。とくに電力用C重油が増加したため全体では微増
の状況が続いている。C重油の供給をみると国内生産は242万KLで11%増、輸入は77万KLで73%増となっている。燃料油の生産ば1531万KLで1・2%減、原油処理が0.2%の減産となっている。
昨年3月11日の東日本大震災以降は、景気が後退して、各油種は減販となっており、軽油は復興特需もあって微増となっているが、大幅な増加となっているのはC重油のみである。だが、C重油も一般産業用は、燃料転換と景気回復の遅れで減販となっている。結果的に原発が稼働停止となり電力用C重油の増販が続いている。原発も大飯原発(3、4号機)が、再稼働したが、その後、他の原発が再稼働する予定はなく、当分の間は石油、LNG火力で発電をカバーすることになる。原発の再稼働を巡っては、現在、政府で審議中であり、近くエネルギーミックスの選択肢(原発の依存度)を決めるが、仮に2030年を原発ゼロに決めても、直ちに廃炉にすることはできず、今後に再稼働問題が浮上する。電力用C重油の供給確保問題は今後も続くことになり、石油業界としても安定供給に寄与することになる。
今夏は節電と大飯原発の再稼働で乗り切ったが、今冬には、再び電力需給阪題が表面化する。これを節電で乗り切ったとしても、安価で良質な安定した電力が供給されないと、日本国内では生産工場の海外移転が加速、雇用問題など様々な社会問題が発生して産業の空洞化が一段と進み、国力が低下するとのシナリオが現実となる。