日刊ニュース

2012.09.06 のニュース

もっと消費者に近づきたい

エコカー補助金がHVと軽4輪シフトを後押しし、来店頻度の減少に拍車がかかる懸念を前号で指摘したが、自動車販売協会連合会がまとめた2012年版自動車ディーラービジョン・乗用車店編でも、現保有車の実走行燃費が04年以前は㍑10~11㌔なのに対し、09年以降は15㌔弱と急速に良化しているデータが紹介されている。登録乗用車の平均使用年数は12年強。いまはまだ燃費10㌔程度のクルマが国内市場の主流を占めるが、あと数年たてば低燃費車の増勢が続くことになる。
 他方、SS業界にとって悪い話題ばかりというわけでもない。1世帯当たりのマイカー保有台数は1・08台弱と6年ぶりに増加に転じた。新車販売の伸び率が世帯数のそれを上回ったからで、牽引役はエコカー補助金だという。1世帯に1台以上の普及が17年連続で続いている状況で、確かに大都市部ではクルマ離れが見られるが、その分、レンタカーやカーシェアリングといったビジネスは拡大している。クルマは所有していなくても、利用機会はある程度維持されているともいえる。
 ここ数ヵ月間にわたり追い風に乗ってきたカーディーラーは、補助金終了後の反動減を心配する。前述のビジョン報告によると「助成がなくてもぜひエコカーを選びたい」はわずか1割にとどまり、「資金的余裕があれば検討はしてみたい」の“条件付”が半数弱を占める。結局、リーズナブルなクルマが人気を集めることになりそうだ。カーディーラーが「ストックビジネスの強化」を最大の命題と位置づける所以だろう。旗印は“自動車総合サービス業”への脱皮である。
 具体的には、超高齢化社会を見据えて「少しでもクルマに長く乗れるようなサポート」とともに、安全、観光、燃料・エネルギー、環境などの「アドバイザーとしての存在意義向上」などを提言。「各地でSSの閉鎖が相次ぎ、給油難民と呼ばれる人たちも増えており、直接・間接的なサポートが必要になるかもしれないことも含んでいる」との言及は、軽視できない。
 カーディーラー最大の強みは、クルマ販売時の囲い込み。これに対してSSは、それに勝るユーザー・地域消費者との接触機会を大事にすることに尽きる。彼らが自動車総合サービス業を目指すなら、我々はクルマ以外にまで関わる“総合サービス業”をも睨む視野が必要だろう。

提供元:全国石油商業組合連合会
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