日刊ニュース

2010.06.23 のニュース

時評 エネルギー基本計画を閣議決定 -来年度予算への反映が焦点に-

エネギー基本計画は、15日の閣議で決まった。2O30年に向けた目標が設定され、この目標達成に向けて政策が推進されることになる。目標は、①化石燃料の自主開発比率(現状18%)を倍増させる、②原子力発電を14基新増設する、③家庭部門のCO2を半減させる、などとなっておりこの結果、CO2が90年比で30%削減できると試算している。
 うち、石油については一次エネルギー供給に占める比率は07年が39%(2億4400万KLから27%(1億4100万KL)へと減少する。しかし、石油については「減少するが、利便性、経済性に優れ、全国の供給インフラが整備されており、引き続き経済活動、国民生活に欠かせない基幹エネルギーである」と位置づけている。
 これらの目標達成のために規制、予算、税制、金融措置などが講じられことになる。閣議決定であるため、政府(各省間)の合意を得られたものであり、政策的な支援が見込まれるが、ポイントとなるのは来年度(23年度)予算措置となる。8月には予算要求が行なわれるが、どの程度の規模が確保できるか注目される。
 昨年9月に民主党政権が発足したが、今年度(22年度)の石油関係の予算は自民党が要求したものであり、一部で修正されたが、時間もなく、ほぼ自民党の要求通りで執行されている。その意味では23年度予算要求は民主党政権になって初の予算編成となる。すでに事業仕分けで廃止(災害対応型SSへの補助、SSでの石油製品の市況調査など)が決まった項目もある。エネルギー基本計画を基にした予算は、民主党色を打ち出したものとなる。ただ、石特会計の石油政策予算については、厳しい対応が見込まれる。
 政策面では、地球温暖化対策基本法が未成立であったため、温暖化対策税(環境税)、排出量取引問題の議論が遅れているが、秋から年末にかけて議論となる。
 石油政策について見ると各業界の意見、要望が受け入れられている。石油精製部門については「国内需要の減少、白油化、海外の大規模かつ最新の製油所の新増設に直面しているが、国内の安定供給を引き続き担うことが必要である。そのため重質油分解能力の向上、石油コンビナート域内の連携強化に取り組むとともに精製機能の集約化を進める」。石油製品販売業は「年間2000SSが減少する競争環境下であるが、石油のサプライチェーンの最前線としての役割を果たす」。LPG業界については「LPGは分散型で災害時にも優れ、クリーンなガス体エネルギーであり、引き続き利用を促進する。充填所の統廃合、交錯輪送の解消、取引の適正化を通じ流通網の維持を図る」と明記しているが、予算編成となると別問題である。
 石油・天然ガス開発については「新興国の需要増などで資源獲得競争が激化している。依然として石油の供給は90%を中東に依存しているが、戦略的に重要な資源国とは資源外交を積極的に推進する。具体的にはJOGMECが中心となって、技術、資金の両面の支援を推進して権益確保を強化する」としており、JOGEMEC法の改正は前国会で成立した。石油開発に限ると民主党政権の方が積極的である。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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