日刊ニュース

2012.09.12 のニュース

非生産品ガス分の5%を還付 ―新制度で185億円が非課税にー

 経済産業省は7日、来年度の概算予算要求と税制改正要望を発表した。税制改正では石油連盟から要望が出されていた「課税済み原油の製油所内で発生する非製品ガスに係わる石油石炭税の還付制度の創設」が経産省の要望に入った。
 今回(来年度)の要望は「製油所内(精製過程)で発生する非製品ガスの石油石炭税の還付制度(非課税化)の創設」は、経産省の要望としては初めて入った制度である。石油石炭税は原油の輸入段階で課税されているため、実質的に製油所内で使用される「自家消費燃料」(重油、LPG、非製品ガスなど)に石油石炭税が課税されている。一方、輸入石油製品については原油と同様に輸入段階で石油石炭税が課税されるが。輸入石油製品は生産される時に消費される燃料については石油石炭税の負担がない。したがって輸入石油製品に対して、国産石油製品は自家燃料への課税分だけ製品コストが負担増となるため、それを還付するよう毎年要望していたが、見送りとなっていた。しかし、来年度要望では「精製過程で発生する販売できない非製品ガス」(重油、LPGを除く)を非課税とする対象の範囲を縮小することで、民主党など関係当局と調整がつき新規要望に加えられた。
 石油石炭税は、原油の輸入時点で2040円/KLが課税されている。結果的には各製品に石油石炭税が加算されて販売される。だが、製油所内で自家用燃料としと全体の7%(150円/KL)が消費される。この自家消費分の石油石炭税を還付すべきと従来から要望していたが、今回(来年度)の要望では「自家用燃料」とせず、製油所で発生する製品にならないガスに限定して、5%相当分の110円/KL(石油石炭税2040円の5%)を還付すると、中身を変えて要望したものである。
 石連の従来の要望では、製油所の自家用燃料として消費しているのは7%としていた。だが、自家用燃料の中には製品として販売できる重油、LPGが2%含まれており、製品にならないガス分か5%ある。この5%分を還付するよう新規の税制改正要望に変更したもの。この制度が採択され実施となれば石油業界に年間で約185億円が還付される。
 最終的には12月末の財務省との折衝を経て政府決定となる。だが、近いうちに国会が解散となり、総選挙が行なわれ政権が交代した場合、予算、税制改正の決定は新政権に移行するため白紙に戻る公算もあり、流動的となっている。
 今回(来年度)の要望では、精製過程で発生する「非製品ガス」(商品として価値がなく、販売できないガス)が5%分あるとして石油石炭税分を還付されることになる。新規の要望となった要因は、総合資源エネルギー調査会において、エネルギー基本計画の見直しが審議されたが、その中で東日本大震災の経験から、①石油がエネルギー供給のラストリゾートである、②災害時も石油供給を担う石油精製業を取り巻く経営環境は、国内需給の急速な減少や国内市場における競争の激化に晒されている、③石油精製業者の負担を改善して石油製品の安定供給を図るため、販売できないガス(非製品ガス)分の石油石炭税還付することで体質強化をはかるため制度を新設する、など議論されていたもの。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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