日刊ニュース

2012.09.24 のニュース

太陽エネルギーリットル420円也

2030年代に原発の稼働ゼロを目指すべきか否か。ただこの一点を巡って、日本のエネルギー政策の漂流が止まらない。3・11と原発事故で従来のエネルギー基本計画の大前提が失われた。それから1年半以上の歳月が流れたうえでの、エネルギー政策の漂流である。
 この間にも次世代車の普及を加速させるエコカー減税が続き、ついには7月1日に再生可能エネルギー特別措置法が施行され、メガソーラービジネスはバブルの様相を呈しつつあるという。バブルの原因は1キロワット時(kW時)当たり42円という買取価格にある。
 バレル、リットルという容量が取引単位である石油の世界に慣れている我々には、このkW時という電力エネルギー単位はピンとこない方も多いだろう。あくまで参考値だが、1kW時とは発熱量3・6メガジュール(MJ)という。たとえば石油は1㍑当たり、ガソリンは約35MJ、灯油は約37MJだから、石油(㍑)は電力(kW時)の約10倍のイメージを抱くとわかりやすいだろう。
 要は、大規模太陽光発電で発生したエネルギーを、石油換算では㍑420円で買い取ります、と言っているのに等しい。この価格には消費税も、ガソリン税も、タックス・オン・タックスも課せられていない。買い取る側は電力会社であり、そのコストは、広く利用者が負担する構図だ。これを再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)という。FITはスペインやドイツなどで先行導入された普及初期のインセンティブ方式だが、スペインでは破綻して停止、ドイツでも11年末までの太陽光への補助総額は約10兆円になり、買取価格の順次引き下げを決めたという。日本の42円という買取価格は、そのドイツの買取価格の2倍以上という。しかもこの価格は20年間固定される。買取価格自体は普及促進期間が切れる3年後に見直されていくことが決められていることから、このうまみの大きい価格の適用を受けるために、全国各地で適地争奪戦・バブルの様相という現況が出現している。
 当面は、自然条件に完全依存するこうした不安定なエネルギーが増殖するのは間違いない。ただ、不安定を補完する任は、石油や天然ガス、石炭という化石燃料が担う。つまり原発の時代、そして自然エネルギーの時代のいずれも、石油は代打の切り札役を担うことになりそうだ。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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