2012.09.27 のニュース
原発ゼロ問題 再度、総合エネ調で審議 ―調整して閣議決定を狙うー
エネルギー・環境会議において『2030年代で原発ゼロを目指す』との方針決定がされたが、閣議決定には至らず、今後は審議中の総合資源エネルギー調査会のエネルギー基本計画に委ねられることとなった。再度、総合エネ調での議論となるが、すでに選択肢(原発依存度)として、①原発ゼロ、②15%、③20~25%の3つのシナリオを提示しており、これとエネルギー・環境会議(政府)の決定である「2030年代の原発ゼロ」を踏まえて、どう調整するかがカギとなる。
エネルギー基本計画は、エネルギー基本法に基づくもので、経済産業大臣が、総合エネ調の意見を反映して作成、閣議決定して、国会に報告することになる。法律に基づくことから、エネルギー・環境会議の決定よりは上位にある。だが、平行して行なわれた審議は常にエネルギー・環境会議が先行して決め、総合エネ調が下請けの立場にあった。しかし、
エネルギー・環境会議の決定か閣議で決まらず、総合エネ調に差し戻されたことにより、政策決定が先送りとなる民主党の姿勢が実証された。
18日には総合エネ調が開催されたが、三村委員長は「この政府方針では、議論ができない」と反論しており、次回の開催予定が決まらず、事務局で調整中である。本来であれば、政府方針に、これまで識論してまとめていた石油・資源政策を織り込んだエネルギー基本計画を決める予定であったが、再度、原発問題を論ずることになる。
政局も内閣改造もあり、その後に解散、総選挙ムードとなっているため、ますます不透明な状況にある。三村委員長が反発によって、総合エネ調の開催も遅れそうである。来週あたりの開催も予想されるが、マスコミの論調も原発ゼ口には問題ありという流れとなってきた。
政府方針では「原発ゼロ」という表明となったが、その裏付けとして打ち出した3原則論と矛盾するとの反論が出ている。矛盾点として、①原子が規制委員会の安全確認が得ら
れれば再稼働とする、としているため原発はゼロにならない、②同じく建設中の大問原発の着工を認めるとは方針に反する。などが「反原発派」から指摘されている。
だが、原発ゼロとしながら再稼動を認める政府方針は、現実的にみれば止むを得ない措置となる。「原発をなくすのであれば核燃料の処分・再処理の対応をどう解決するのか、核利用に係る日米同盟のあり方をどうするのか、アジアの各国は原発か推進する方向にあり日本の技術が期待されている」など、現実的な対応が求められる問題が山積している。原発の安全神話は崩れ、「再稼働か人命優先か」という感情論か先行した意見もおるが、国の将来を左右するエネルギー問題であるため冷静な対応が求められる。
また、産業界からは「電力料金が値上がり、産業の海外シフトが増加、空洞化が進行し、国内の雇用問題が深刻化する」、「太陽光発電など再生可能エネルギーの普及は期待できず、現実性に欠く」などの反発が強い。
このような状況から閣議決定が見送りとなったが、政府内の混乱と決定を急いだことから、再度、総合エネ調で取りまとめることになるが、総選挙の結果、政権交代ともなれば白紙撤回ということにもなり得る。