2012.10.01 のニュース
SS総不当廉売からの脱却を
実際の卸価格動向につながる各種指標が、せいぜい1円しか値下がりしていない状況にもかかわらず、3円も小売市況が下落してしまった。こんな声が多く聞かれる。自分は下げたくないのに、周辺に引きずられて、採算割れの度合いが大きくなり、経営に深手を負ってしまった。しかも来週からは、わずかとはいえ、石油増税が始まるというのに、こんなストーリーが実に多い。
我々がアウトサイダーに対して、自らの防御のために法律に基づいた「不当廉売」のスキームを活用する。この「不当廉売」とは、「商品や役務を不当に安い価格で継続して販売し、他の事業者の事業活動を妨げる行為」を指す。大資本が「採算割れで継続販売」することで、多くの中小企業の「事業継続を困難にする」と言い換えてもよいだろう。ところが、我々自身の多くがいま、「採算割れで継続販売」を行ってしまっている。
自らが採算割れに陥る手前で踏ん張り、廉売アウトサイダーを浮き彫りにしなければ、同じ穴のむじなの類になってしまう。まず、そこから這い出す道へ踏み出そうではないか。採算ラインへなんとしても浮上することで、絶望的な赤字体質から抜け出そう。
中東産原油指標の近況は108㌦台であり、ここ最近では平均値水準と言えるが、120㌦台を起点とする3月期元売の原油原価から推計すると、この中間期収益は、それを大きく下方へと誘う原油安が確定的な情勢だ。元売も数字上は大きなダメージを被る収支状況となる。
原油見合いで製品卸価格を割安にする術はないから、来週から始まる下半期に際して、卸価格の下支えが本格化するだろう。下支えとは、ドラスティックな需給引き締めを指す。それ以外の選択肢で、国内石油業の総赤字体質から浮上する道はないだろう。
これらが実行されるなら、経済原則として、アウトサイダー向けの業転市況が、系列見合いで優位性を増すということは生じない。
元売はそうせざるを得ないだろうし、組織活動もアウトイダーに利する卸格差の是正に全力を注ぐ。その兆しが出現するまでに、我々の側がまず採算割れをやめ、健全経営に向かう素地を固めよう。我々は採算割れ販売を強要されているわけではないのだから。自身の経営判断でできるはずだ。