2012.10.11 のニュース
メタハイ、シェールガスの開発 ―基礎調査など期待するも時間がー
原発の稼働停止により、当面はLNG、石油火力にシフトすることになり、石油・天然ガスの開発、LNGの調達に関心が強まっている。同時に天然ガスシフト(広域パイプライン、地下貯蔵など)が、エネルギー基本計画の策定の中でも検討され、予算も確保されている。
追い風となっている石油・天然ガス開発は、新しく非在来型のメタンバイトレート(MH)の試掘(愛知県沖)、シェールオイルの開発(秋田県)、さらに国の基礎試錐調査(新
潟県佐渡南西沖)などが、相次いで実施されている。その成果が期待されるが商業化には時間もかかるため、日本の開発技術が問われるところである。
いずれも国の支援で実施するプロジェクトで、過去においては石油公団(現在JOGMECに移行)によって実施されており、当時は、国費の無駄使いと非難を浴びたこともある。現在では資源確保が重要であるという位置づけとなり、国の支援による民間主導の事業という新体制で実施となっている。
メタンバイトレートの開発は、石油資源開発がJOGMECと共同で、愛知県沖(東部南海トラフ)の試掘を実施している。すでに「南海トラフ海域」に大規模な賦存量が確認されているもので、平成15~16年には東海沖~熊野灘で採取されている。メタンバイトレートは、海底の地中に固体(メタンガスと水の結昌化した氷状の物質)で存在する。在来型の石油・ガスと異なり井戸を掘っても自噴しないため、回収が難しいことが問題点である。減圧によりガス化したものを地上で回収するのだが、この技術開発が進めば日太も産油国になり、国内消費の100年分があるといわれている夢のプ口ジェクトである。開発は日本が先行しており、今年度には海洋産出試験を海外で実施する予定である。
佐渡南西沖の開発は、国の基礎試錐として明年4月~5月に試掘調杏を実施する。事業実施者はJX日鉱日石開発(鉱区保有者)となる。この海域は、資源エネルギー庁が導入した三次元物理探査船「資源」の調査で有望と判断されたもので、佐渡南西沖30KMの海底に位置し、水深は1100Mの深海で、掘削深度は海底面下約2700KMの地点となる。水深が約1000Mと深く、海底から約3000Mを掘削するものである。6月の発表時では、埋蔵があれば中東の中型規模、国内福大規模のガス・石油が見込まれると大々的に報じられた。この基礎試錐は、あくまでも石油・天然ガス資源のポテンシャル調査であり、目的地点まで掘削して構造を調査するものである。その段階で石油・ガスが発見されれば幸運であるが、これまでも目的地に到達するが、商業ペースの石油・ガス田を発見した例は少ない。この鉱区は平成15年~16年度にかけてジャパンエナジー石油開発と出光興産の共同掘削で兆候があった。今回は隣接した鉱区での掘削であるため成果が期待されている。
シェールオイルについては、石油資源開発が4日に実証試験で秋田の女川シェール層(頁岩=深度1800M)で酸処理液体を注入、回収した液体に少量の原油混入を確認したと発表した。国内、海外での開発に活用が期待されているが、まだ、国内での埋蔵量は未確認である。