2012.10.22 のニュース
異次元安値の背景にメスを
2008年10月に起源を遡れる現行の標準的な週仕切り体系。原則として一律、物流コスト実費と多少の数量格差をベースとしたこの標準体系の発動時に、全国的な卸格差が大幅に縮減し、これに準じて石油製品の地域間の小売格差も縮減した。
総務省物価調査の81都市のガソリン、灯油の小売価格の推移でもそれは明らかで、ガソリンを例に取ると、07年に平均㍑12・1円だった全国最安値都市と最高値都市の消費税別格差は、翌08年には9・4円、09年は9円へと縮小していった。ところが新体系が改定されるたびに、再び拡大の方向となり、10年には12・5円と新仕切り体系導入前に戻り、11年は15円へと、14・7円だった02年並みの大きな格差に戻ってしまっている。9月までの12年の近況は15・8円とさらに拡大している。09年比で7円近い格差の拡大を招いてしまっている。
しかも、これは個別SSの話ではない。最小でも数十万人が暮らす県庁所在地などの中核都市間の最大小売格差が15円を大きく超えてしまっている。
この格差が、その多くが元売系列に属する一般的な地域SSを傷めている元凶といえる。高値都市のSSでさえ、青息吐息の経営実態にあるのだから、平均市況が15円も安い地域の異常性は常軌を逸しているように映る。高値都市周辺に立地するSSの視点で安値都市の小売価格を捉えると、同業者でありながら、信じ難い小売価格が出現している。そうした安値都市の一般SSの痛みが理解できるのだ。
では、7円近い格差拡大の背景に、一体なにがあるのだろうか。その嫌疑は卸価格に向かわざるを得ない。
こうした安値都市には一様に、外様、出先、大手、広域、商社、大型PB量販店という形容詞が冠されるSSが多くある。多くの数量をさばける実力SSが多い。
小売格差が格段に大きくなる実態が、公平かつ透明な仕切り政策の内側のストーリーなら、やむを得ない側面があるが、もはや、公正・透明は死語となっているのが実態ではないか。これが異次元安値の元凶ではないか。
瞬間風速かもしれないが、製品輸入の優位性は消えている。現在もそこにある超安値の裏舞台には海外ガソリンはいない。国産ガソリンがいるのだ。