2012.10.23 のニュース
中途改定で透けて見える現実
多くのSS所長がそうであるように、元売も相対的に売上数量が芳しくないと、営業・販売担当は厳しい事態に直面する。営業基盤が全国区にまたがるから、地域における同業者との比較とともに、社内の他地域との営業成績の評定にもさらされる。
その営業成績を左右するのは、残念ながら単価だ。長年、築き上げた信用も、誠意も大切な要素ではあろうが、お得意様の多くは一定の範囲を超える値差を許容しない。現状は、営業マン個人の裁量がほとんど考慮されない価格フォーミュラとなっているから、比較劣位に陥らないよう、そのフォーミュラを仕切る上司、経営幹部へと要請を行う。
そうして、価格フォーミュラは徐々に弾力性を高める道を歩むが、その度が過ぎると組織全体、さらには業界全体を危機へと向かわせることになる。石油元売全社が20世紀終盤にたどった道である。
先週も有力な卸価格指標の一つが期中の中途に改定された。期中改定の意図は、多くの場合、同業者に対する比較劣位を未然に防ぐことにある。多くの場合は、期中値下げとなる実態から、数量を落とさないよう、いち早く値下げ対応するものだ。それが適用されるお得意様の範ちゅうには、系列取引に縛られない大口が多く含まれているだろうことは、想像に難くない。
先週までの今年の42週中、ガソリン全国小売平均価格の動向は、値上がりは16週、値下がりは22週、そして横ばいは4週だった。
主な卸指標では、JX先行は値下げ22回、値上げ18回、横ばいは4回だった。うち2回は期中改定で、いずれも今月に実施された値下げだ。EMG外販は値下げ21回、値上げ18回、横ばい13回で、うち期中改定が10回を数え、全値下げと確認できる。一方、確認できるEMG系列は、値下げ17回、値上げ16回、横ばい10回で、うち1回のみが期中改定値下げである。
当然のことながら、小売価格と卸指標との連動性が強く見受けられるが、一つ大いに気になる点が見つかるだろう。それは、元売にとって、最長かつ最大の上得意先であるはずの、系列への期中対応が少ないという事実だ。
最も大切にされるべき系列一般特約店、販売店、代理店、SSの置かれている悲しく、かつ冷徹な現況が透けて見えてくる。