日刊ニュース

2012.11.14 のニュース

総合エネ調、審議を再開するが ―政治日程が絡み方針決定は難航―

 エネルギー政策の見直しを審議する総合資源エネルギー調査会基本問題検討委員会は、ようやく14日からの再開となった。前回、9月18日に開催されたが、その直前の週末14日に、エネルギー・環境会議で決めた「革新的エネルギー・環境戦略」の原発ゼロを目指すとの方針に対して意見を求めたが、委員からは賛同する意見が出たものの、「選挙を意誰したものである」と反発する意見も出た。審議の最後に三村委員長は「この原発ゼロの方針が目標なのか、何を指すかを明快にしないと議論できない」と注文をつけた。翌19日の閣議では決定されず、「国民の理解を得つつ、柔軟性をもって不断の検証と見直しを行ないながら遂行する」との参考文書扱いとなった。その後、審議が中断していたものである。
 石油政策については、審議を終えており、木村石油連盟会長は「石油の重要性は認識されおり評価できる。サプライチェーンの維持・強化も認められているが、安定した需要の確保、位置付けを明確にすべき」と語っている。
 ただ、総合エネ調の審議の行方は、国会の日程、政治情勢で大きく変わる。国会も12日から予算委員会が開催され、14日には党首会談が開催されるが、「近いうち解散」を巡って与野党の対立が続いているため、近く、解散、総選挙となりそうである。早ければ今月20日に解散、12月16日か24日の総選挙も予想されており、政権交代が必至とみられている。そのため審議しても白紙撤回となる公算が強い。遅くとも、年末解散、明年1月選挙が予定され、政権交代が予想されていることから、委員会による審議での方針法定は難しい。自民党が仮に政権を取れば、原発容認の立場でり、原発ゼロの民主党政権とは政策的に大きな違いがあるため、完全に対立する。そのため結論を急ぐのではなぐ時間をかけて審議することに方向が転換する。
 つまり、残る問題点であるグリーン戦略、電力システム改革(発送雷分離など)などを審議することになる。グレーン戦略はグリーン部素材・素材力を製品力に転換、川上、川下で連携した技術開発、次世代自動車の普及、インフラ整備、蓄電池戦略、スマートコミュニティーエネルギー政策やインフラ輸出など。電力システム改革は、小売の完全自由化、発送電分離、卸電力の市場改革など審議するが、すでに部会で検討が行なわれている。原発容認と原発ゼロでは、大きな隔たりがあるため簡単に調整することはできない。
 これらの問題点を審議しても選挙結果で新政権が誕生すると、振り出しに戻ることになる。選挙となれば来年度予算案、税制改正の審議ができず、明年にズレ込む異例の事態となる。予算編成が大幅に遅れるが、景気への影響が懸念される。
 このような状況下で14日から総合エネ調で審議に入るが、政治日程との関係は無視できない。エネルギー基本政策は法律に基づくものであり、審議して策定することになるが、最終的には、閣議で決定して国会に報告することになる。選挙後の新しい内閣が決めることになるが、原発政策(原発の依存度、最稼動問題など)は、当面は議論してもまとまらず、宙に浮いたかたちとなる。そもそも政権が交代すれば、委員のメンバー入れ替えも予想される。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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